御年76歳――今年、史上最高齢で吉本の劇場メンバーになったピン芸人・おばあちゃん。
普通なら、“人生の終わり”を考えてもおかしくない年齢の彼女だが、なぜ71歳で吉本の養成所「NSC」に入り、その翌年にはプロ芸人として舞台に立つ道を選んだのか? その理由や、養成所時代の思い出について語ってもらった。(全2回の1回目/後編を読む)
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入学条件は「ビルの1階から6階までの階段を登れる」こと
――71歳で吉本の芸人養成所「NSC」入学に至った理由は?
おばあちゃん 子どもの頃からラジオで漫才を聞くのが好きで、人を笑わせる職業っていいなと思ってはいたんです。でも、そんなの自分からやりたいと言える時代でも環境でもなくてね。
当時は進学面でも「女の子は大学に行く必要なんてない、むしろ高等教育を受けたら嫁の貰い手がない」みたいな価値観。そうじゃないだろうと思っていても親にも逆らえない。進路を自分で決められない時代でした。
ただ定年を迎えて、主人と今後どう生きるか話し合った時、「楽しくいこう」ということで意見が一致。主人は「釣りをしたい」と言うから、「じゃあ私吉本行くわ」って。主人からは「吉本って老人ホーム始めたの?」なんて真顔で言われましたけど(笑)。
――養成所の入学条件に年齢はなかったんですね。
おばあちゃん 吉本は年齢制限がなくて、聞かれたのは「ビルの1階から6階までの階段を登れますか?」ということのみ。生徒はエレベーター使っちゃいけないんです。「登ります!」って言って、潜り込みました。他に門を叩いた養成所は25歳までしか入れず、半世紀オーバー(笑)。
――NSCに入学して、周囲はどういう反応でしたか。