おばあちゃん まあ、びっくりですよね。東京NSC24期は400人ぐらいいるんですが、最初は先生が「ご父兄の方?」ってね(笑)。
「『腰パン』ってこし餡のあんパンのことかな」
――NSC時代、大変だったことは何かありましたか。
おばあちゃん 朝5時に起きて、2時間ぐらいかけて通いましたが、大変だと思ったことはありません。でもね、JRでの学割は使えませんでした。せっかく通学定期が使えると思ったら、「吉本さんの生徒は使えません」ってハッキリ言われちゃった(笑)。
授業ではダンス、発声、ネタ、コント、殺陣なんかをやるんですが、ダンスは怪我したらまずいんじゃないかということで免除に。腹筋なんかも、本来100回ぐらいやらなくちゃいけないのに「おばあちゃんは横になっていればいいから」って。体力面ではたくさんカバーしてもらいました。
――世代の異なる同期たちと交流することで、刺激はありましたか。
おばあちゃん 何より言葉が通じないことは面白かったですね。「腰パン」という言葉を聞いて「こし餡のあんパンのことかな」と勘違いしました。「ダメージジーンズ」も、NSC生はみんなお金ないもんな、なんて思っていたらとんでもない。高いんですってね!? そういう言葉や価値観の違いは、やっぱりありましたね。
――YouTubeではカップ焼きそばの『ペヤング』が好きということになっていましたが、本当ですか。
おばあちゃん ネタですよ~(笑)。この間、たまにはいいなとは思いながら食べましたけど。でも、何かチャンスがあれば絶対挑戦したいタイプではあります。
私ね、1人で食堂へ行けないんです。戦後の貧しい時代に生まれ育ったせいか、外で食べることに罪悪感がある。だからNSC時代も、若い子が一緒にうどん屋さんに行ったりしてくれたのは嬉しかったですねえ。
――逆に下の世代が、おばあちゃんの“当たり前”を知らないことも多いのでは。
おばあちゃん 多いです、多いです。『君の名は。』(新海誠)というアニメがあるんですよね? 私にとって『君の名は』は、昔の恋愛ドラマのこと(※脚本家・菊田一夫の代表作。1952年~1954年にNHKラジオで放送された後、小説化、映画化、テレビドラマ化、舞台化され、いずれも大ヒットを記録した)。若い子に「真知子巻きが~」なんて言っても全然話が噛み合わない(笑)。
ズレというかギャップがあることはしょっちゅうです。でも、わからないことは聞けばいいだけですもん。世代も年齢も関係ない。毎日楽しかったですよ、NSCの1年間は。