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 つまり、ドジャースとアメリカのスポーツ史上最高額の契約を交わした大谷選手は、“#Shohei me the money”で、結局のところ金になびいてしまったとジョークにされているわけである。例えば、「オオタニは“金を見せろ”と言ったんだよ」「オオタニ? “金を見せろ”だろ」「“金を見せろ”じゃないよ。金のショウヘイだよ」と言った具合だ。早くも、ネット上では、“SHO ME THE MONEY”のロゴ入りTシャツを22ドルで売り出す輩まで登場している。

https://teepublicity.com/より引用

大谷選手がドジャースと契約した理由

 しかし、この“Show me the money”には、実は、もっと深い意味がありそうだ。映画の中で、ロッドが“Kwan(クワン)”という言葉を口にしている。“Kwan”はロッドがCoinを改変して作った造語だが、どこかスピリチュアルな響きを帯びている。ロッドは「Kwanは、愛や尊敬、コミュニティー、そしてドルのことも意味している。1つのパッケージなんだ。それがKwanなんだ」と話している。ロッドはMoneyそのものより、Kwanを大切に思っているのである。

 そうか、と思った。大谷選手がドジャースと契約した理由については、カリフォルニアという温暖で慣れ親しんだ環境や手術した右肘のサポート体制があること、そして、アメリカのスポーツ史上最高額の契約金を提示されたことなど様々な分析がされているが、大谷選手も、“Kwan”を大切にしているからドジャースを選んだのではないか?

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©文藝春秋

お金より夢を求めて渡米

 ロサンゼルス・タイムズのコラムニストで大谷選手の取材もしているディラン・ヘルナンデス氏も、それを示唆するような、こんな指摘をしていた。

「日本は必ずしもお金を最優先にはしない国だと思います。それは、大谷選手を見ればよくわかります。メジャーリーグでは、25歳未満の外国人選手は年俸制限がかかることから、大谷選手が渡米した23歳の時、彼のエンゼルスとの契約金は2億6000万円でした。2年後に入団すれば200億円を超える契約金が待っていると当時予想されていましたが、彼は夢を追うために200億円を蹴ったわけです。お金優先のアメリカ人はこんな判断はしません。大谷選手はお金より夢を求めたのです」