「魔の7年」ジンクス
「魔の7年」とは、K-POPアーティストと所属事務所との契約期間が「最大7年」であるために生じるジンクスのこと。これまでに多くのK-POPグループが、活動7年目を節目にグループの解体やメンバーの脱退を余儀なくされてきた。
2009年、韓国公正取引委員会では、事務所側がデビューを控えた新人を相手に劣悪な条件で長期契約を強要する「不公正契約」を防ぐため、契約期間が7年を超えないようにする「標準専属契約書」を用意した。
もちろん7年というのも長い期間だが、会社からすると新人の育成にかかる投資金を回収するためには「少なくとも7年はかかる」と見たのだ。
大型プロダクションの場合、練習生1人当り年間で1億ウォン以上の育成費用がかかると言われる。 練習生がデビューまでかかる期間は平均2~3年のため、もし5人組の新人グループを売り出すとすると、おおよそ10億~15億ウォンの育成費用が必要となる。
「アーティストVS事務所」契約をめぐる“法廷バトル”まで
今年、ビルボードHOT100に25週間もチャートインし、世界的なヒット曲となった『Cupid』をリリースした4人組の新人ガールズグループ「FIFTY FIFTY」は、所属事務所を相手に専属契約破棄をめぐる法廷闘争を繰り広げ、世間の話題を集めた。
訴訟の争点となったのは、「公正で透明な収益配分がなされたか」という点だったが、所属事務所はFIFTY FIFTYに対して、「2年余りの間に80億ウォン(約8.8億円)を投資した」ことを明らかにし、この裁判に勝った。その後、事務所側からメンバーの3人の契約を解除し、グループは事実上の解散。さらには事務所が脱退メンバー3人に対して140億ウォン(約14億円)の損害賠償請求訴訟を起こすなど、両者の関係は“泥沼化”している。
莫大な初期投資費用がかかるだけに、新人の場合の契約条件はアーティスト側に絶対的に不利だ。業界では「7年契約に所定の契約金を支払い、活動に対する会社とアーティスト間の収益配分が概算で7:3の割合」が当然のように守られてきた。
ただ、最近は大型プロダクションを中心に契約期間が短くなる傾向があり、所得配分も5:5まで上がるなど、アーティストに対する待遇が向上している。
最初の契約では不利な位置にあったアーティストたちも人気が出れば状況は逆転し、再契約時にはアーティストが優位になる。契約期間は2~3年まで短縮され、莫大な契約金が支払われる。