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国債とは何か?

 いま、日本の税収は、年間でおよそ65兆円です(2022年)。でも、毎年110兆円ほどのお金(一般会計)を使っている。なぜ、そんなことが可能なのでしょう?

 借金をしているからです。政府もみなさんも同じで、収入以上にお金を使おうと思ったら、誰かに借りるほかに方法はありません。政府は、「国債」という金融商品を発行して、お金を調達しています。

 もっとかみ砕いて言えば、「お金を貸してください」と政府が頼み、「いいですよ」とお金を貸してもらったら、「間違いなく貸しましたよ」と相手が証明できる証書として国債を発行しているのです。もちろんここでの借金は政府が責任を持って、利息をつけて返します。つまり貸す側からすると、貸した以上のお金が戻ってくる「投資」になるのです。

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 この「借金方式」をみなさんがマネをしたら、大変なことになってしまいますね。なにせ、給与とほぼ同額の借金を毎年積み重ねているのですから。

写真はイメージ ©️AFLO

 つまり日本は、予算を組む段階で「今年は110兆円使いたい。でも税収は65兆円くらいだから、足りない45兆円は借金でまかなおう。ちゃんと国債を発行するからよろしくね」と決めてしまっているのです。政府が年金を払えなくなるのは、国債の買い手がいないとき。

 これは、国債を発行できるかぎり、政府はいくらだってお金をひねり出すことができるということです。もちろん年金や医療保険といった社会保障のお金だって、借金さえすれば未来永劫支払えます。

 そんな政府が年金を払えないときがくるとしたら、どういうときか。誰もお金を貸してくれなくなったとき、つまり国債の買い手がいなくなってしまったときです。こうなると、日本はお手上げです。それまで借りていたお金(発行していた国債)を返すこともできず、年金・医療やさまざまな行政サービスができなくなり、借金の棒引き(デフォルト)を宣言せざるを得なくなります。これがすなわち、政府が破綻するとき、です。

 そもそも、日本の国債は誰が買い、保有しているのでしょうか。まず、政府の銀行である日本銀行ですね。でも、それだけではありません。銀行や証券会社、保険会社などの金融機関や個人投資家なども、国債の買い手です。