また、現代サメ映画を一躍有名にした作品のリブート作も制作されている。サメとタコが合体した生物兵器が登場する『シャークトパス』は、その抜群のビジュアルに加え、「B級映画の帝王」ことロジャー・コーマンが制作にあたったこともあり、世界的に大ヒットを記録した。
そんなシャークトパスの(おそらく正式な)リブート作が中国で誕生したのだ。『MEG ザ・モンスター』の大成功を経験した中国は、配信サービスがオリジナルコンテンツとしてアニマル/モンスターパニック映画を量産しており、サメ映画の制作にも積極的である。
日本の配給会社も中国のB級映画を前のめりで買い付けているので、本作の日本上陸も秒読みに入っているはずだ。英題もそのまま『シャークトパス』。予告編を見る限りではタコの部分が既に茹で上がっているように見えなくもないが、CGはオリジナルより格段にグレードアップしており、期待が集まる一作である。
注目トピックその2「海ザメ映画への回帰」
「海ザメ」という言葉はトートロジーに響くかもしれないが、そんな言葉が必要なほどサメ映画のサメの生息域は広いのである。『ビーチ・シャーク』や『シン・ジョーズ 最強生物の誕生』ではサメが悠々と砂中や地中を泳ぎ、『スカイ・シャーク』ではジェット戦闘機と化したサメが大空を飛び回り、『ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦』の幽霊ザメは異界からやってくるし、『ムーンシャーク』では月にサメが棲んでいる。
これは極端な事例ではない。「かつてバッファローと同じようにサメは陸の生物だった」というのは家ザメ映画『ハウス・シャーク』のセリフだが、サメが水辺以外に出る作品が多いというのがここ10年ほどの傾向だった。
例えば『サメデター』という作品のキャッチコピーは「今度のサメは海に出る!」だったが、一周回って普通のことが宣伝文句に使えてしまうほど陸ザメや空ザメが常態化していたのだ。『ジョーズ』がサメ映画のスタンダードだったはずが、いつしかサメ映画のサメは異常ザメに満ち溢れてしまい、王道と邪道が逆転してしまっているのである。