文春オンライン

「でっかいヌーブラと競泳用のアンダーパンツを用意して」脱がされまいと3、4時間戦った…杏さゆりが語る、壮絶なグラビア撮影の記憶

杏さゆりさんインタビュー#2

2023/12/30

genre : エンタメ, 芸能

note

絶対にヌードは撮らせまいと3、4時間くらい戦って

 「えっ?」となるじゃないですか。スタジオにあったスタイリストさんが用意した衣装を見たらもう全部スケスケで。さらに「これをお願いします」と渡されたインナーが、本当に乳首だけを隠す小さいニップレスと、紐が透明になっていて下の毛も見えちゃうようなTバックで。「ダメだ、騙された」と思いました。

 それでスタイリストさんには「私がわがままを言ったと言っていいので」と伝えて、自分で用意したヌーブラとアンダーパンツで撮影を始めてたんです。

 最初はみんなでワイワイ写真を撮っていたんですけど、次のシーンってなった瞬間に部屋の中でそのカメラマンと2人きりにされて。そこからはドレスのチャックは下げられるわ、肩紐は外されるし。それを手を上げたポージングで肩紐を直したり......。

ADVERTISEMENT

©山元茂樹/文藝春秋

「無理。嫌です、嫌です」って何度も言いました。ヌーブラをはずされそうになったら、自分の手で被せたり、アンダーパンツを「邪魔」と取られても絶対にヌードは撮らせまいと何とか抵抗しました。体感ですが、3、4時間くらい戦っていたと思います。

――それ周りのスタッフも完全にグルですよね。拷問だ。

事務所との決別

 結局、その場では彼の撮りたいものは撮れないじゃないですか。だから次の衣装でと言われた時に、私は取り乱した感じで「もう嫌だ」って泣きじゃくったんです。目や顔がパンパンに腫れたら撮影にならないとも思って。周りのスタッフは「顔の腫れが引くの待つ」みたいに言ってくれていたらしいんですけど「もうこんなやつに写真なんて撮ってもらわなくていい」と家に帰ったんです。

 家のキッチンには丸椅子が置いてあったんですけど、帰ってその上に体育座りしていたら涙がぼとぼと流れてきて。私は無言だったんですが、その姿を見た母親が激怒して事務所に「娘に何やらせたんだ」と電話して。

――杏さんのその姿を見るとそれこそ暴行されたのかってなりますよね。

 思っちゃいますよね。でも事務所の社長はその有名カメラマンの撮影については知らなかったらしくて。当時、新しく入ってきたマネージャーが勝手に組んできた仕事だったらしいんです。その事実が分かったことで、そのマネージャーはすぐクビになりました。その時の写真を使ってもいいかと聞かれたんですが、全部NGにしました。

©山元茂樹/文藝春秋

――当然の決断ですね。結局その事務所とはいつ決別したんですか。

 社長に、給料が払われなくなってから「この期間までに1円でも入れてくれなかったら仕事はもうしないから、スケジュールは入れないで」と言ったんです。気持ちを見せてよって意味だったんですが、それでも1円も振り込まれなくて、喧嘩になって弁護士さんを立てました。だからマダガスカル島の写真集が最後の仕事でした。

――2005年の写真集「Charm」のときですね。事務所との信頼関係が破綻していて、精神状態も悪い中でよくその仕事を受けましたね。

関連記事