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最後の仕事を終え、イギリスへ

 写真集の撮影も本当はボイコットしたかったんですけど、弁護士さんに「あとでお金とか請求されるとマズいから頑張って」と言われて。しかも社長は最後にお金を稼ごうとしたのか下着で撮らせるという話が浮上していたんです。

 それは絶対に嫌だったのでマダガスカル島に着いてから、カメラマンさん、スタッフさん1人1人に「事務所もう辞めるんです。ポージングとかいろいろ頑張るから、下着は着たくないです」となんとかお願いして撮りました。

――次の事務所は決まってたんですか。

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 決まってなかったんですけど、躁うつ病も酷かったので静養のためにイギリスに3カ月ぐらい行きました。

 イギリスではホストマザーの家に泊まったんですが、抗うつ剤や睡眠薬などの薬は全部持っていかなかったんですよ。なので毎日睡眠時間は2時間ぐらい。それ以外は毎日庭で空をずーっと見てました。

©山元茂樹/文藝春秋

――何もしないことで癒されるものもありますよね。

 癒されました。あとは日記や絵を描いたりしてました。振り返ったときに、こんな思いをしていたんだなって思えるかなと考えて。描いたイラストは覚えてます。女の人が泣いていてコップから水がこぼれている絵や、天使の羽がもげて血みどろになっている絵とか。

回復したタイミングで大手から「所属しませんか」と連絡が

――そうした日々の中、少しずつ変わってきたんですか。

 イギリスに着いて2週間くらいたったときに、走ろうって思えるようになって。当時「Def Tech」のCDを持って行っていたので、そのCDを1枚聞き終わるまでは、ただただひたすらまっすぐ走るって決めて走り始めたんです。

 そういうことを始めたら、3カ月以上も止まってた生理がきたんです。嬉しいじゃないですか。「うわっ、生理がきた。体が戻ってきた」と思い始めたんです。

©山元茂樹/文藝春秋

 そのタイミングで大手事務所の方から「イギリスから帰ってきたら事務所に所属しませんか」と連絡があって。そうしたら、もう舞い上がっちゃって。「よし、日本に帰ろう。こんなところにいるべきじゃない。早く日本に帰って仕事しよう」となっちゃったんです。

――回復途上だから、その決断は危うさもありますよね。

 危ないですよね、今考えたらもうちょっとイギリスにいればよかったのにって思います。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。