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伝説の名司会者・島田紳助と明石家さんま“最大の違い”「さんまは、とにかく明るい。紳助は…」

『お笑いがばい交友譚』#1

2023/12/24

genre : エンタメ, 芸能

note

紳助はさんまよりも…

 紳助もしゃべくりで場を沸かすのは負けてないですよ。おそらく多少なりとも考えて、番組収録に臨んでいると思う。それにさんまよりも、細かい落としが上手い。紳助が司会を務めていた『行列のできる法律相談所』や『人生が変わる1分間の深イイ話』なんかに出させてもらったことがあるけど、俺と紳助のやり取りは漫才みたいになる。同じ釜の飯を食ってきた弟のような存在だからですかね。若手の頃から、みんなを集めてゲームをやったり、仕切るのが上手いんですよ。そういうのも名司会者になった素地があったんだろうね。友だちも多いし、人にも好かれる。昔から涙もろいところも変わらないですよ。

今も変わらぬ紳助との仲

 2011年8月に紳助は緊急記者会見を開き、引退を表明したでしょ。記者会見が終わり、10分もしないうちに紳助から電話がかかってきたんですよ。

「兄さん、見てくれましたか?」

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「見たよ。自分で決めたことだから、それでいいやん。あれだけの記者会見を開いたんやし。引退して店でもやれば、いろんなお客さんも来るやろ」

 俺がそういうと、電話の向こうで泣いてましたよ。

 2020年2月、新型コロナウイルスがまだここまで猛威を振るうちょっと前に大阪のザ・リッツ・カールトンで俺の講演会があったんですよ。それを知った紳助から「ちょうど兄さんの誕生日やないですか(編注:2月10日は洋七さんの誕生日)。こっちへ来るなら誕生会しましょう」と連絡がありました。当時は、島田一門の兄弟子である島田一の介さんが経営しているお店に、紳助、オール巨人、一の介さん、それに新喜劇の若い子らが集まり誕生日会を開いてくれたんです。

2010年に一度終わりを迎えた「M-1グランプリ」で優勝した「笑い飯」と大会委員長の島田紳助氏 ©時事通信社

「引退したけど、漫才師になって良かったな」

 紳助に「引退したけど、漫才師になって良かったな」と声をかけると、それだけで泣くもんね。紳助は泣きながら、俺の影響で漫才師になったことを語るから「あれだけトップで辞めたんやからいいやん。かっこええやん」と言うと、またも泣いてましたよ。ホンマにそう思うんですよ。徐々にテレビ番組に出なくなり、皆さんに忘れられていくより、レギュラー番組をたくさん抱えて、視聴率も稼いでいる最中に引退するほうがかっこいいでしょ。もちろん、あれだけの実力がある芸人だから、いまでももったいないなと思うことはありますよ。でも、自分で決めたことだから、仕方ないですよ。俺も記者会見を見たときは本当に辛かったですよ。

お笑い がばい交友譚 ([テキスト])

お笑い がばい交友譚 ([テキスト])

島田洋七

日本ジャーナル出版

2023年11月6日 発売

伝説の名司会者・島田紳助と明石家さんま“最大の違い”「さんまは、とにかく明るい。紳助は…」

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