「孫の顔を見るのは、もうあきらめました。でも、子どもたちがこれからも独身で生きていくのかと思うと、心配でたまりません。今はよくても、老後はどうなるのでしょうか」

 なかなか結婚しない45歳長男と43歳長女に悩む母親……。そんな彼女に毒蝮三太夫さんが送った優しくも厳しいアドバイスとは? 著書『70歳からの人生相談』(文春新書)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

40歳を超えても結婚しない子供たち…そんな悩みを持つ母に、毒蝮三太夫さんが送ったアドバイスとは? ©文藝春秋

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【お悩み「45歳の長男と43歳の長女が結婚していなくて、とても心配です」】

 

 子どもが二人います。45歳の長男と43歳の長女です。二人とも結婚せずに、ずっと私たちと一緒に暮らしています。親の目から見ると、どちらも問題があるとは思えないのですが、結婚しないのです。結婚の話をすると、どちらも「またその話か」と怒り出します。

 

 孫の顔を見るのは、もうあきらめました。でも、子どもたちがこれからも独身で生きていくのかと思うと、心配でたまりません。今はよくても、老後はどうなるのでしょうか。夫にこの話をしても「好きにさせてやれ」と言うだけです。(73歳、女性)

自分たちが結婚の素晴らしさを見せられなかったんだから仕方ない

 きつい言い方になるけど、これは「身から出た錆」だよ。45歳の息子と43歳の娘は、結婚に魅力を感じていない。結局、あなたたち両親が、結婚の素晴らしさを見せてやれなかったってことだ。

 親は子の鏡で、子は親の鏡だからね。あなたたち両親の夫婦関係は、子どもから見て「ああなりたい」と思えるようなものだったのか、子どもを育てる喜びを感じていることを子どもに伝えられたのか、胸に手を当てて考えたほうがいい。

 そうじゃないのに、ただ「結婚しろ、結婚しろ」と言ったって何の説得力もないよ。うるさがられるのは当然だ。もしかしたら旦那は、自分たちが「いい見本」ではなかったことがわかってるから、「好きにさせてやれ」って言ってるのかもしれない。単に関わるのが面倒臭いからっていう可能性もあるけどな。

 ただ、今の日本では、子どもがいくつになっても結婚しないケースが増えている。親であるあなたたちだけに原因があるわけじゃない。社会全体の問題でもある。

 世の中の風潮として、今は「いい歳になったら結婚しなきゃいけない」というプレッシャーは薄くなった。結婚が素晴らしいものだと伝えられていないのは、あなたたちだけじゃなくて、ほかの大人たちも同じだ。若者のあいだには「結婚なんて罰ゲームだ」「子育てなんて無理ゲーだ」なんて言い方もあるらしい。