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「見渡すと、壁中に穴がありました。何ヵ所も、何ヵ所も」殺人現場のお祓いに向かった宮司が感じた“すさまじい執念”

『はぐれ宮司の 事故物件 お祓い事件簿 1500件超の現場を浄化!』#2

2024/01/17

genre : ライフ, 社会

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 自殺から殺人まで、強烈な死臭に襲われる事故物件には、仏門も神職もあまり近づきたがらないという。しかし、照天神社の宮司である金子雄貴さんは、これまで1500件以上の事故物件のお祓いに真摯に向き合ってきた。

 ここでは金子さんがその体験をまとめた『はぐれ宮司の 事故物件 お祓い事件簿 1500件超の現場を浄化!』から一部を抜粋。お祓いに向かった殺人現場で、金子さんが気づいた、ある「恐ろしい事実」とは――。(全4回の2回目/続きを読む

金子宮司 版元より提供

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殺人現場のお祓い

 2020年の8月に、東京都新宿区で壮絶な現場のお祓いをしました。

 とあるマンションの一室で遺体が見つかったのでお祓いをしてほしい、という依頼でした。

「賃貸物件なので、一刻も早くお清めをしてもらいたいのです」

 依頼者である不動産屋さんは、警察の検証がおわったら急いでリフォームをして、間をあけずに次の人に貸したいということでした。

 薄情に感じられるかもしれませんが、大家さんや不動産屋さんにとって、自殺や孤独死によって事故物件となることは、迷惑以外のなにものでもありません。

 死者を悼むためというよりは、自分たちと次の住人を安心させるためにお祓いを依頼してくるのが実情です。

 インターネットで調べて照天神社の存在を知り、すぐに連絡をしてきたそうです。

「どんな現場でしょうか?」

 わたしが聞くと、不動産屋さんは少し言い澱んでこう答えました。

「……殺人現場なんです」

 そう言われ、急遽、駆けつけることになりました。