「捜査機関による事実誤認で、冤罪です」
「遺体や現場の状況などを捜査した結果、『冨田被告が首を圧迫して死なせたものの、殺意を認定できない』という理由で、最終的に傷害致死での起訴となった。宮崎さんが遺体で発見された際になくなっていたアイポッドタッチも発見されておらず、事件の全容が明らかになったとはいえない状態でした」(社会部記者)
今年3月にさいたま地裁で開かれた裁判員裁判では、冨田被告は「捜査機関による事実誤認で、冤罪です」と無実を主張した。
しかし、冨田被告が宮崎さんの自宅にいたことや同日に宮崎さん宅を訪れていた訪問看護師が裁判で証言したこともあり、検察は「窒息死するまで絞め続けた犯行態様は危険で悪質。不合理な供述に終始し、反省の情がない」として懲役10年を求刑。そして今年3月10日、小池健治裁判長は冨田被告が事件のあとLINEのアカウントを削除したり、事件のニュースや捜査対応についてネットで検索し始めたことについて、「犯人性を推認させる」と指摘。懲役9年の判決が言い渡されたのだった。
「判決理由で強調されたのが、事件について反省をしていないという冨田被告の態度です。小池裁判長は被告人が『不合理な弁解をするなど一切の反省は認められない』と断じていました」(地方紙記者)
一審判決後、検察は控訴を行わなかったが、冨田被告は控訴。そして12月22日、冒頭の控訴審が行われたのだった。
殺人から傷害致死へのトーンダウン。反省の情を見せることがない冨田被告……。こうした出来事に胸を痛めてきたのが、宮崎さんの姉だ。
姉は、今回の控訴審で読み上げようと意見陳述書を作っていた。そこにはこう綴られている。
〈妹の命を奪った加害者を重く裁き、責任逃れをさせないでほしい。妹の命を奪った加害者を刑務所から出して欲しくないです。人の命を軽く見ないで欲しい。正直なところ、加害者に対する地方裁判所の判決の内容は甘すぎると私は思いました〉
しかし、この日、意見陳述書を読み上げる機会はなかった。姉が言う。