つまり「悪いのはすべて佐川さんのせい」で「自分たちは悪くない」。改ざんの発覚直後から、佐川さんに全責任をおっかぶせて財務省に責任はないと逃げているんです。悪いのは佐川さん一人。そういうことでよろしいのでしょうか?
こんなことを言ってあなたを切り捨てている財務省が、今後、再就職先を世話してくれるとは思えません。
5年9カ月、再就職しないで身を隠しながら暮らす佐川元長官
佐川さんは国税庁長官を退任してから5年9か月、ずっと再就職していないそうですね。財務省で重責を担っていたのに長年働かずに身を隠しながら暮らすのはお辛いことだと思います。再就職できないから裁判を早く終わらせてほしいという話を、佐川さんの代理人の菅弘一弁護士が裁判の進行協議の場でしていました。佐川さんもそのように思っていらっしゃるのですよね。無理もないことだと思います。
でも、それならなぜ裁判についての赤木雅子さんの申し出に返事をしないのですか? 雅子さんは「夫の墓前か自宅の祭壇で手を合わせ」「改ざんの経緯をお話し」してくれれば「裁判はすぐにやめます」「恨んだりしません」と手紙に書きました。佐川さんの代理人に渡していますからお読みになったことでしょう。お金はいらない、裁判はすぐにやめるというのですから、佐川さんにとっても願ったりの申し出だと思いますが、「返事をしない」理由は何でしょう? もしかして「改ざんの経緯を話す」ことができないからですか? そこまで秘密にしなければならないのでしょうか?
12月19日に赤木雅子さんが佐川さんを訴えた裁判の控訴審判決がありました。結果はご存じの通り、佐川さんの勝訴です。でも裁判長は判決理由の中で次のように指摘しました。
「道義的責任に基づき、あるいは一人の人間として、誠意を尽くした説明及び謝罪をすることがあってしかるべき」
人として、説明と謝罪をするのが当然だ、とまで言われたのに、佐川さんはしていません。それでは“人間失格”だと指弾されたのに等しく、佐川さん一人が悪者にされています。他にも省内で処分された人はいますが、形だけで実際はすぐに栄転しています。財務省は佐川さんだけの責任にしています。それでいいのでしょうか?
《全文公開》フリー記者・相澤冬樹氏が佐川宣寿元国税庁長官に出した手紙 「財務省はあなたのことを切り捨てていますよ。陰でこっそりと」
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