文春オンライン

「みんな介護にお金をかけすぎ」「私は一銭も出していない」柴田理恵(64)がプロに聞いた“介護費用を安くするためのポイント”

『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』より #1

2024/01/03
note

金銭的に追い詰められると、親の長生きを喜べなくなってしまう

川内 介護は親のお金でやるのが大原則ですが、介護保険や医療保険、その他の公的サービスをうまく活用すれば、十分、親の収入で在宅での看取りも可能です。

柴田 私の場合も、母の介護は母の年金ですべて賄っています。私は一銭も出していません。「お前の世話にはならない」と繰り返し聞かされてもいたので。

川内 素晴らしいと思います。介護は金銭的に無理のないようにしないと、いずれ追い詰められ、親の長生きを喜べなくなってしまいます。

ADVERTISEMENT

 たとえば、頑張れば払えるからと高級老人ホームに入ったのはいいけれど、想定を超えて親が長生きし、親の手持ち資金が枯渇。仕方なく子どもが月々の費用を負担して払い続けるケースが最近増えているんです。高級老人ホームの月額費用は何十万円もすることがありますから、子どもは大変な重荷を背負うことになります。

柴田 子どもの立場からすると、それは厳しいですね……。

富山県に住む母を遠距離介護する柴田理恵さん(写真=柴田理恵さん提供)

施設入居で大事なこと

柴田 親の幸せを考えた結果、施設へ入ろうとなった際、何に注意すればいいですか?

川内 一番大事なことは、子どもの好みで施設を選ばないことです。入るのは親ですから、親が気に入るような、親の価値観に合う施設を選ぶ必要があります。

柴田 それには子どもが親の好みや趣味、生き方などを知っていないといけませんね。

川内 はい。でも親は子どもに自分の本当の姿を見せているわけではないので、介護スタッフと密に連絡を取り、自分の知らない親の姿を教えてもらうことも必要かもしれません。介護の現場では、意外と子どもに見せない素顔を見せたりするものです。

柴田 そういう意味でも、介護スタッフとのコミュニケーションは大事ですね。