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金銭的に追い詰められると、親の長生きを喜べなくなってしまう

川内 介護は親のお金でやるのが大原則ですが、介護保険や医療保険、その他の公的サービスをうまく活用すれば、十分、親の収入で在宅での看取りも可能です。

柴田 私の場合も、母の介護は母の年金ですべて賄っています。私は一銭も出していません。「お前の世話にはならない」と繰り返し聞かされてもいたので。

川内 素晴らしいと思います。介護は金銭的に無理のないようにしないと、いずれ追い詰められ、親の長生きを喜べなくなってしまいます。

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 たとえば、頑張れば払えるからと高級老人ホームに入ったのはいいけれど、想定を超えて親が長生きし、親の手持ち資金が枯渇。仕方なく子どもが月々の費用を負担して払い続けるケースが最近増えているんです。高級老人ホームの月額費用は何十万円もすることがありますから、子どもは大変な重荷を背負うことになります。

柴田 子どもの立場からすると、それは厳しいですね……。

富山県に住む母を遠距離介護する柴田理恵さん(写真=柴田理恵さん提供)

施設入居で大事なこと

柴田 親の幸せを考えた結果、施設へ入ろうとなった際、何に注意すればいいですか?

川内 一番大事なことは、子どもの好みで施設を選ばないことです。入るのは親ですから、親が気に入るような、親の価値観に合う施設を選ぶ必要があります。

柴田 それには子どもが親の好みや趣味、生き方などを知っていないといけませんね。

川内 はい。でも親は子どもに自分の本当の姿を見せているわけではないので、介護スタッフと密に連絡を取り、自分の知らない親の姿を教えてもらうことも必要かもしれません。介護の現場では、意外と子どもに見せない素顔を見せたりするものです。

柴田 そういう意味でも、介護スタッフとのコミュニケーションは大事ですね。