東京で生活しながら、片道3時間かけて富山県に住む94歳の母を「遠距離介護」している女優の柴田理恵さん(64)。2023年11月に、柴田さんが実践している遠距離介護の方法などを綴った著書『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(祥伝社)を上梓し、話題を呼んでいる。
そんな柴田さんに、遠距離介護で心がけていたことや、介護を経て変化した母娘関係、介護に悩む人へのメッセージなどを聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)
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コロナ禍での遠距離介護の苦労
――遠距離移動が多いと柴田さんご自身の体調も心配ですが、お身体を悪くされたことはありませんでしたか。
柴田理恵さん(以下、柴田) 自分がそうなってはいけないと思っているので、ちゃんと体調は管理するようにしています。「心配でも無理してまでは行かない」という風にしたほうが、共倒れになることもなくていいと思うんです。
私が病気をしたら周りの人に迷惑がかかるし、母も「仕事が大事なんだから、周りに迷惑をかけるようなことはしたらダメだよ」と言ってくれているので、そうやってなんとか。
――お母さまの遠距離介護が始まったのは2017年からだそうですが、コロナ禍ではどのようにされていたのでしょうか。
柴田 テレビ電話と、電話も毎日していました。あとはいろいろと悩みましたけど、PCR検査をやって帰るようにしていましたね。もしかすると、母が来年死ぬかもしれないから、会えるうちにと思って。でも帰ると、今度は母がデイサービスに行けなくなっちゃうんですよ。
PCR検査が陰性でもダメで、例えば介護老人保健施設(自宅復帰のためのリハビリや医療ケアを行う施設)に入っていたとしても、一度出ないといけなくなるんです。それにはちょっと参りましたね。また入所し直さないといけないので、順番待ちをするんですけど、雪国だと冬の間に施設に入る人も多くて。結果、順番待ちの間は1人暮らしをしなければならないので、それが心配でしたね。