だから私は、身体的な介護はプロにお任せして、親族ができるのは思い出話をするとか、そばにいるだけとか、みかんを剥いてあげるとか、そういう心の介護なんじゃないかと思うんですよね。そう考えると、ケアをする親族が心の余裕を持てる、優しい気持ちでいられるための環境を整えないといけない。それが大事なことじゃないかなと。
1人で悩まず、介護サービスや地域包括支援センターに相談してほしい
――今は在宅介護のサービスもすごく多様になっていますよね。
柴田 そうなんですよ。今は在宅でも、24時間対応のケアを受けられる地域密着型サービスがだんだん増えていて。保険料を払っていれば、介護保険の自己負担分だけでそういうサービスを受けられるそうで。
少子高齢化で暗い未来ばかり報道されますけれど、介護現場では「もっといい方法があるんじゃないか」と努力されている方もいっぱいいらっしゃって、介護も進化し続けているので、世間のそういった不安を払拭していく方がいいような気がしますね。
――最後に、介護であったり、家族関係に悩んでいる方へメッセージをいただけませんでしょうか。
柴田 何事もそうですけれど、1人で悩まない方がいいと思います。ご自分で抱え込んで介護離職を選ばれる方もいらっしゃいますが、この先のことを考えると、経済的に大変なことになったりもします。
ご家庭の問題というと、ご家族やお子さんの問題などいろいろありますが、やはり専門の方に相談するのが一番なんだろうなと思うんですよね。自分じゃどうすればいいかもわからないし、誰かに話さないと、解決策が見つからないことってあるので。いろんな人に相談するべきじゃないかなと。
専門の方以外でも、介護世代って大体似た年代だから、普段はそんな話をしない友人でも意外に「私も介護してるよ」という人がいたりして、「こういうことに困ってる」とか「こういうときはこうしてる」という話ができると思うんです。そんな風に人と情報交換をして、恐れずに介護サービスや地域包括支援センターに相談してみること。そうしたらきっと、そのご家庭に沿ったやり方を考え出してくれるので。
だからこそ、1人で抱え込まないということが、一番大事なことじゃないかと思います。
撮影=橋本篤/文藝春秋