東京で生活しながら、富山県に住む94歳の母を「遠距離介護」している女優の柴田理恵さん(64)。2023年11月に、柴田さんが実践している遠距離介護の方法などを綴った著書『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(祥伝社)を上梓し、話題を呼んでいる。ここでは同書より一部を抜粋。柴田さんが、NPO法人となりのかいご代表理事・川内潤さんと対談した内容を紹介する。(全4回の3回目/4回目に続く)
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お金をかければ、親にとっていい介護ができるわけではない
柴田 介護というと、どうしてもお金のことが気になります。
川内 その点に関しては強くお伝えしたいことがあります。それは、予算と親にとってのいい介護は相関しない、つまり、お金をかければいい介護ができるわけではないし、限られた予算であってもいい介護はできる、ということです。実際、これまで私は、お金がなくて介護ができずに困ってるという人に1度も会ったことがないです。
柴田 えーっ、そうなんですか!?
川内 老後2000万円問題などがあるので、私もよく「老後の介護も考えたらどの程度の蓄えが必要ですか」と聞かれます。もちろんお金はあるに越したことはありません。あれば介護の選択肢も増えますから、ないよりはあるほうが絶対にいいです。
でも、ないならないなりに介護はできますから、そんなに心配する必要はないですよ、と申し上げるようにしています。
柴田 そうなんですね。
川内 介護とお金については、あとで別の専門家の方が詳しくお話しされると思うので、大事なポイントだけいくつかお話しさせていただくと、みなさん、基本的にお金をかけすぎなんです。
たとえば、何が親の幸せなのかという視点を欠いたまま、しばしば使える介護サービスを全部利用しようとします。
柴田 訪問リハビリも利用できるはずだから追加してほしい、とか?