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介護費用が高くならないために大事なこと

川内 はい。でも親にとっては、自宅でのつらいリハビリより仲間に会えるデイサービスが嬉しかったりもする。介護はたくさんサービスを使えばいいものでもないんです。

柴田 あーそうか、そういうこともあるんですね。

川内 それからもっとも大事なのは、介護費用が高くならないように最初から外部の支援を受ける、ということです。

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 たとえば、家族だけでの介護が限界に達し、外部支援を仰いだところ、このままでは親子共倒れになるからいますぐ施設に入所したほうがいい、となったとします。

 しかし、費用が安い公的な特別養護老人ホーム(特養)などは人気が高く、なかなか空きがない。民間だってリーズナブルな施設は人気で、すぐに入所できない。いますぐとなると、費用の高い民間施設を選択せざるを得なくなります。

 となれば、数百万円とか数千万円という多額の入居一時金に加えて、月額費用が何十万円もかかる可能性があります。

柴田 最初から外部の支援を仰げば、子どもが介護に疲れて倒れることもないので、安い特養が空くのを待つ余裕ができる、ということですね?

 

介護のトータル費用の目安は約506万円

川内 そういうことです。生命保険文化センターの介護費用に関するデータ(「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」)によれば、介護費用の平均は月額8万3000円。介護をした場所別の平均月額は、在宅介護が4万8000円、施設介護が12万2000円です。介護期間の平均は5年1カ月。ちなみに、この期間に先程の8万3000円をかけるとトータル費用は約506万円になります。これが介護費用の1つの目安です。

 自力介護にこだわり、外部支援を仰がず、それが無理になっていざ外部支援を受けるとなったら使える介護サービスは全部使う――、そんな介護になってしまうと、到底、この額では収まらないと思います。

柴田 となると、介護費用を安くするには、最初から外部の支援を仰ぎ、親が大事にしていることを叶えるために必要な介護サービスだけ利用する、ということですね。

 たとえば、この家で死ぬまで絵を描いていたい、というのが親の望みなら、高額な民間の老人ホームに入る必要はないし、最期まで在宅介護でいいわけですから。