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「夜中にお漏らししても、30分ほどで来てくれる」柴田理恵(64)が介護の専門家に聞いた“地域密着型サービス”の実情

『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』より #2

2024/01/03
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柴田 訪問看護って、週に何時から何時と決められていませんか?

佐々木 緊急対応加算というのがあって、「何かあったときには緊急対応しますよ」という契約をしておけば、夜に何か起こったときは駆けつけてくれます。ですから、お体のケアが必要であれば、24時間の看護師さんを入れておけば、呼べばすぐ来てくれるし、医療的に必要なものがあれば、緊急で往診することも可能です。

柴田 医療や介護のサービスを工夫すれば、できることはあるということですね。

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地域密着型サービスの費用は安い!

柴田 気になるのは費用なんですが、介護保険は使えるんですよね?

佐々木 もちろんです。すべて介護保険の「包括支払い」なので、自費で足が出ることもなく、介護保険の支払いだけでサービスが受けられます。

柴田 介護保険の自己負担分だけで済むということですか! それはいいですね。ところで包括支払いというのはなんですか?

佐々木 医療介護の報酬の多くは「出来高払い」といって、点滴いくら、レントゲン撮影いくら、と診療内容や回数で報酬額が積み増しされていくんですが、包括支払いでは病名や状態ごとにサービスの値段が決まっていて、点滴などの提供をどれだけ行なっても報酬が変わらないんです。月々定額で利用できるのが特徴です。

柴田 なるほど、そういうことなんですね。ちなみに在宅でこれらのサービスを利用した場合、月々の費用はどれくらいになるものなんでしょう?

佐々木 たとえば、要介護3で介護保険の自己負担が1割の方が、24時間対応のこれらのサービスを利用するとしたら、自己負担は2万円くらいです。

 これとは別に、医療保険が訪問診療で約6000円。お薬などがプラスされて計7000~8000円。ですから介護と医療合わせて月3万円くらいで収まると思います。

介護付き有料老人ホームに入った場合は…

柴田 それで収まるんですか!? びっくりしました。

佐々木 ちなみに、こういった在宅介護は選ばずに、施設入居を選択して、たとえば介護付き有料老人ホームに入った場合でも考えてみましょう。

 施設入居の場合も、介護保険を使ってサービスを受けるので、2万円という自己負担額は在宅介護同様です。訪問診療も受けるのでその費用もかかります。

 ただここから違うのは、介護施設利用料がまるまる自己負担でかかることです。

 これは多額の入居金に加えて月々の家賃などで、いわゆるホテルコストと言われるものです。入居金は高い施設だと何千万円もしますし、月額費用も東京では30万円で入れるところは少ないです。都心だと50万円くらいはします。

柴田 うわぁ、高い……。

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