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佐々木 50万円も払うなら、それこそホテルに長期滞在したほうがいいかもしれない(笑)。それで昼間は介護サービスを入れて、夜は自費でヘルパーさんを頼んだり、呼んだりすれば、医師や看護師が来てくれる態勢をつくることもできる。

柴田 なるほど。そういう考え方もありで、在宅から施設へという一本道で考える必要はないんですね。

 ただ、夜中のトイレとか考えると、やっぱり施設なら同じ建物内にスタッフがいるからすぐに対応してくれるという安心感がありますよね。地域密着型サービスは、呼んで来てもらう、という形になるので、多少なりとも時間がかかるし、夜中に申し訳ないという気持ちも湧いてきそうです。

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施設にヘルパーさんがいるから安心というわけではない

佐々木 そうですね。でも施設でもたいして変わりませんよ。夜中にヘルパーさんを呼べば、トイレまで一緒に行ってもらい、用が済むまで待ってもらって、出たかを確認されますが、ご本人はそういうことはできればしてほしくはないわけです。

 あるいは、施設であっても、おっしゃるように夜中にわざわざ呼ぶのはすまないと思ってしまう人もいます。だから、みんなこっそり夜中にトイレに行って、転んで骨折したりするんです。

柴田 母も、入院中に看護師さんを呼ばずに、1人でトイレに行こうとして転んで、腰椎を圧迫骨折したことがあります(苦笑)。

佐々木 そうでしたか。よくあるんですよね。ですから、施設ならヘルパーさんがいるから安心かというと、実はそうでもなかったりするんです。それにベッドから落ちても自宅が和室で畳なら大事に至らないかもしれないですが、施設の場合は床がコンクリートですから骨折する可能性が高い。

柴田 一概に、施設が絶対にいいとも言えないわけですね。

佐々木 もちろん自宅より施設のほうが住み心地がよくて、「ここにいると私は穏やかに過ごせる」という老人ホームもあります。そういう施設では、具合が悪くなって病院に入院した人が、退院が決まって、「どこに帰りたい?」と聞かれると、「そんなのホームに決まってるじゃない」と笑顔で答えます。

柴田 家よりもホームに帰りたい、と。

佐々木 老人ホームでも、そこがその人にとっての住まいとしてちゃんと機能する居心地のいい施設もあるんです。そういうホームが増えるのは、もちろん大事なことですが、どうしてもお金がかかりますから。特養なら安く入れると言われますけど、個室のユニット型になると、月々の費用は10万円では足りません。これに介護や医療の費用が加わりますから、基礎年金だけではとても入れない。

柴田 それなりのお値段になってしまうわけですね。