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24時間対応してくれる3つの地域密着型サービス

佐々木 そうなんです。24時間対応の地域密着型サービスには大きく3つあります。

(1)定期巡回・随時対応型訪問介護看護

 ヘルパーさんが毎朝安否確認に来て、朝昼晩の食事の用意や掃除、洗濯などをしてくれるほか、何か異常があれば、すぐにご家族に連絡がいきます。家に設置された緊急電話を使えば、24時間いつでもスタッフが家に駆けつけてくれます。

(2)小規模多機能型居宅介護

「デイサービスのような通いのサービス」「自宅にヘルパーさんが来てくれる訪問サービス」「家で1人でいるのが不安なときなどに施設に泊まれるサービス」という「通い」「訪問」「泊まり」の3つがセットになったものです。具体的には月水は通い、火木土はヘルパーさんに来てもらい、日曜は泊まり、というような使い方ができます。これにいつでも駆けつける24時間対応のケアがつきます。

(3)看護小規模多機能型居宅介護

(2)の小規模多機能型居宅介護に、訪問看護がついたもの。末期がんや難病で人工呼吸器をつけているなど医療依存度が高いとき、ヘルパーさん以外に看護師さんもついて対応します。施設に泊まるときも看護師さんが近くにいてくれます。

柴田 へー、こんなサービスがあるんですね。知りませんでした。

佐々木 まだ認知度が低いんですよね。

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柴田 こういったサービスは、たとえば、夜中にトイレに行けずにお漏らししちゃって困った、みたいなときに「すみません!」と呼んでも来てくれるんですか?

佐々木 そうです。コールセンターを呼ぶと、たとえば30分ほどしてヘルパーさんが来てくれて、体をきれいにしておむつを替えてくれたりします。

柴田 それはいいですね。

佐々木 (2)の小規模多機能型居宅介護の場合だと、1つの事業者と契約すれば「通い」「訪問」「泊まり」の3つが利用できるので、手続き面でも手間がかかりません。

柴田 なるほど。(3)の看護小規模多機能型居宅介護も、これなら在宅でも施設や病院と近い形で24時間のケアが受けられそうですね。24時間対応の地域密着型サービスは、日本全国どこでも利用できるんですか?

佐々木 いまあげた3つのサービスが全部そろっているところはまだ少ないかもしれませんが、よほどの過疎地でなければ、1つはやっていると思います。利用できるかどうかはケアマネジャーさんや地域包括支援センターに聞けば教えてくれます。

写真はイメージです ©iStock.com

訪問看護は原則24時間対応がほとんどのステーションでできる

柴田 まだ事業所が少ないんですね?

佐々木 そうなんです。厚生労働省のデータ(「令和2年介護サービス施設・事業所調査の概況」)によると、他の介護保険サービスと比べた場合の事業所数は、たとえば訪問介護は3万5075カ所、訪問看護ステーションは1万2393カ所ありますが、(1)定期巡回・随時対応型訪問介護看護は1099カ所、(2)小規模多機能型居宅介護は5556カ所、(3)看護小規模多機能型居宅介護は711カ所にとどまります。

 それから地域密着型ということで、利用者が事業所と同じ地域に住んでいるのが条件なので、住所地に事業所がない場合は、残念ながら利用できません。

柴田 となると、地元にない場合は自宅で24時間対応のケアを受けるのは難しいですね。

佐々木 ただ、そうでもありません。訪問看護は原則24時間対応がほとんどのステーションでできるようになっていますし、在宅医も基本的には24時間対応なので地域密着型サービスに近いケアは可能です。もちろん在宅医がいれば、ですが。