体の疲れをとるにはどうすればいいのか。理学療法士の大橋しん氏は「体のイメージを変えられれば、自然と姿勢がよくなり、疲れづらくなる。たとえば『背筋をピンと伸ばして胸を張る』というのは正しい姿勢ではない」という――。

※本稿は、大橋しん(著)、芦田京子(監修)『筋緊張がとれ、自律神経が整う イラスト見るだけ整体』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/fatihhoca ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fatihhoca

「筋トレ」より手軽で根本的なアプローチ

私たちの日常は、もはやハードワークといっても過言ではありません。仕事だけでなく、家庭のこと、子育て、介護、人付き合い……ぐったりと疲れてしまうのも当然でしょう。

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そんなとき、手っ取り早いのがマッサージや整体に行くこと。その瞬間、疲れがとれた気がします。しかし、また日常に戻り、ストレスにさらされれば、また疲れがどっと押し寄せてきます。またマッサージに行かなければなりませんし、出費もかさんでしまいます。この繰り返しから抜け出せない人も、多いのではないでしょうか。

一番の問題は、この繰り返しが起こっている根本原因から、目を背けていること。筋トレやエクササイズも悪くないですが、もっと手軽で、より根本的なアプローチがあります。

それは、体のイメージを変えること。間違ったイメージを手放していけば、体を押しつぶしていくことがなくなり、姿勢も自然とよくなっていきます。ガチガチにかたまっていた筋肉もやわらかくなり、マッサージいらずにもなれるんです。

鏡の中にいる自分の姿勢が、老人のようだった

Dさんは、正社員で働きながら二人の子育てに奮闘し、毎日くたくたになる日々が続いていました。やがて体中がこりで痛くなり、吐き気や頭痛まで出るようになってきました。マッサージや整体などの施術を受けても、またすぐに不調がぶり返す……その繰り返しでした。

そんなDさんにとって、転機になったのは、ほんの日常のひとコマでした。ふと目に止まった鏡の中の自分が、老人のような姿勢をしていたのです。思い返してみると、Dさんは子どもの頃から、親に「姿勢が悪い」と叱られていたのですが、うまく姿勢をよくできず、あきらめていました。いままで目を背けていた「姿勢」こそが、この不調と疲労感の原因なのでは、と直感したのです。