「部署ごとの“タテ割り”がまかり通る事態に」
白水氏は、会長在任中に軽自動車販売台数で30年以上トップランナーだったライバルのスズキを抜き去り、ダイハツを業界1位に導くなど功績ある経営者として知られた存在だ。2011年に会長職を退いた後も、2016年まで「相談役技監」という肩書きを持ち、事実上のトップとして同社に君臨していた。
白水氏による“独裁”がダイハツの組織を歪ませ、不正の温床を作ったと前出の社員は語る。
「白水元会長は生産技術部門を優遇する独裁政治を敷いてきたため、設計や実験部門を含み横断的に管理させる“プロジェクトリーダー”を事実上、存在させてこなかった。そのため、ダイハツでは部署ごとの“タテ割り”がまかり通る事態になってしまったのです。大きなプロジェクトなのに全体のとりまとめ役がいないというのは異常なこと。責任者を置かないということは上層部が現場に責任を押し付ける以外の何物でもありません」
ダイハツに白水氏に関する事実関係の確認を求める質問状を送ったが、以下の回答があるのみだった。
「現在、弊社は12月20日公表させていただいた通り、本件について、第三者委員会からの報告書を受領したところであり、その中での指摘いただいた事項の詳細確認を進めているところです。ついては今回いただいた個別のご質問については、回答をさし控えさせていただければと存じます」
「週刊文春電子版」では、「《深層レポート》ダイハツ『不正30年』の病根」と題した連載を配信中だ。第2回目となる今回の記事では、“ダイハツの天皇”こと白水氏の人物像、白水氏の独裁が続いたことで生まれた「事なかれ主義」の実態、開発部門に極端な負荷がかかるようになってしまった生産体制などについて詳しく報じている。
現役社員が告発「社長はただの飾りだった」 ダイハツ《悪質不正の原点》“業界1位に導いた天皇”の独裁と「事なかれ主義の処世術」
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