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放置別荘の相続人は、自分の意志で購入したわけでもなく、仲介を受けてくれる業者が見つかりにくいからこそ、持て余して放置しているのではないかと都合よく解釈していたのだ

だが結論から言えば、これは大きな思い違いであった。実際にお会いしたり、お話した所有者さんは数名程度に過ぎないが、共通していたのは、とにかく自分が所有する別荘そのものに対して関心が薄く、別荘を放置することに対しての危機感がまったく伝わってこなかったという点である。

ボロボロになった別荘をどうするつもりなのか…

連絡のとれた所有者さんたちは、全員が相続で別荘を所有していることは把握していた。親が購入したその別荘に、子供のころに遊びにいった記憶を持つ人もいた。だからと言ってその別荘に足を運んで、現況を確認することはなくなっていた。

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現在の別荘の模様を撮影した写真を持参してお見せしたこともあったが、記憶が薄れているのか、それとも記憶にある光景と現況があまりに違うからなのか、反応も薄いままだった。

筆者も無理に食い下がってまで買い取りを強く熱望していたわけでもなく、ダメなら仕方ないという程度の気持ちで臨んでいたので、結局はそうした所有者さんと商談が成立することはなかった。

結局、ただ一人、手紙を差し出した後、単刀直入に取引の条件をメールで問い合わせてきた東京都内の所有者さんから、50万円で古別荘(築31年、床面積40m2)を直接購入することになった。

他2人の所有者さんからも「考えてまた連絡する」「家族と相談して連絡する」と返答をいただいていたが、別荘は2つとも今も売りに出ることもなく放置されたままである。築50年近くの空き家所有者からは「家族内で意見がまとまらないのでまた連絡をする」と返事をいただいたが、売却以外にどんな意見が出たのだろうか。

別荘はあくまでその方の所有物であって、赤の他人の筆者がその処分についてあれこれ口を挟む筋合いはない。また、突然訪問してきた見ず知らずの者といきなり不動産の売買の約束を結ぶ人もまれであろう。