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《初春歌舞伎は初の父子3人共演》市川團十郎が語った子育ての覚悟「ママみたいな存在を目指している」

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麻央さんの言葉を伝えていく

 子供に対しては、「ああしなさい、こうしなさい」と教えるのではなくて、「ママはこう言ってたよ」という伝え方をするようにしています。

 例えば、勸玄がちょっと雑な言葉遣いをすることがあります。その言い方が僕とソックリなんですよ。そういう時はこう伝えるんです。

「ママが言ってたよ? 『ママが死んじゃった後に一番心配なことは、あなたの喋り方を勸玄と麗禾が真似することです』って」

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 すると「そうなんだな」って響くんでしょうね。「その言葉遣い、やめなさい」と𠮟るよりも耳を傾けて、しっかりと受け止めてくれます。

 ただし、雑な言葉遣いをしてもダメってことはない。これから反抗期を迎えていくでしょうけど、反抗すれば良い。私は世の中をザワザワさせるくらいの反抗期を過ごしてきましたから(笑)。でも、なんだろうなあ。麻央と出会って結婚して子供が生まれて、麻央が病気になって……。いなくなってしまった中で変わっていったんだと思います。

小林麻央さんと(2010年) ©文藝春秋

 2024年1月6日から25日まで、勸玄と麗禾と共に、新橋演舞場で初春歌舞伎「平家女護嶋(へいけにょごのしま)」に出演します。近松門左衛門の人形浄瑠璃に新たな解釈と演出を加えた物語で、副題は「恩愛麻絲央源平(おやこのきずななかもげんぺい)」。つまり、「麻央」の名前が入っています。演出を担当されている石川耕士さんが、「親子の情愛を描いた物語で、どうしても麻央さんのことを意識しているから名前を入れたい」とおっしゃったので、その意思を尊重しました。麻央への想いを胸に抱きながら、親子の情愛を育める1カ月間にしたいと思っています。