バラエティの再生数が伸び悩んでいる理由とは
この再生数ランキングの結果を「バラエティはコンプライアンスが求められ、表現の自由が制限されているから」という理由で片づけるのであれば、それは報道やドキュメンタリーはいわんや、ドラマにおいても同じ条件下にある。
バラエティに限ったことではないし、コンプライアンスが厳しいのであればその制約を乗り越えて表現できるものを模索するべきだろう。「コンプライアンス遵守」を言い訳にするのは、自らの制作能力のなさを露呈しているようでなさけない。
コンプライアンスに縛られクレーム対策によって表現の幅が狭まるのは、時代の流れで仕方がないことだ。いまさらそれを言っても始まらない。「グルメ」「ショッピング」「クイズ」ばかりに偏重していることを理由に挙げる人もいるが、視聴率を狙うためにファミリーターゲットの内容にせざるを得ないのは当然である。
またジャンルが「グルメ」「ショッピング」「クイズ」に偏ったとしても、肝心なのは「何をやるか」や「どう見せるか」である。想像力や創造力が欠けているから、同じような番組が並んでしまうのだ。「同じ出演者ばかりを見る」という指摘もあるが、それもクリエイターのキャスティング能力や演出力の欠如に起因する問題で適切な分析にはなっていない。「バラエティが配信において支持されない理由」として私が指摘したいのは、最近のバラエティ番組のある顕著な傾向である。
読者のみなさんは、いったい何だと思われるだろうか。
それは、企業とのタイアップ企画とおぼしき番組が目立つという点である。
タイアップ企画が目白押しのバラエティ
2023年7月8日放送の『ジョブチューン』(TBS)は、「第2回大人気チェーン対抗! アレンジバトル最強決定戦!」と題してイオン、大戸屋、餃子の王将、串カツ田中、スシロー、ペッパーランチのメニュー開発者が市販の商品をアレンジして対決するという企画だった。
同年7月4日の『家事ヤロウ!!!』(テレ朝)は、平野レミと和田明日香が大型倉庫店へ行くという企画で、爆買い必至の「常連リピ買い商品ベスト15」を挙げて焼き鳥やスイーツなどのレシピを紹介するというものだが、その大型倉庫店とはコストコであり全編にわたってタイアップの臭いがプンプンとする内容だった。『林修のニッポンドリル』(フジ)は、2022年には業務田スー子が100均のSeriaや激安スーパー・セイミヤ、ベイシアなどを調査するという名目で全面的に店を宣伝するシリーズや池袋東武、西武池袋本店などのデパ地下売上番付を紹介するシリーズなどを頻繁に放送していた。
3月21日に終了した『所JAPAN』(関テレ)もよく大手チェーン店と食品メーカーをフィーチャーした企画をおこなっていた。