タイアップ企業からは多額の「協力金」
以上のように、民放各局の看板バラエティには企業色が濃い番組がズラリと並んでいる。
これらのタイアップ企画は、4年前くらいから多く見られるようになった。
私の分析では、この傾向はコロナ禍に関係している。
コロナ禍が原因で、店舗やレストランで表立って取材をすることが難しくなったテレビ局と集客や来店が減った企業側の利害関係が一致したのである。
当時はラテ欄(番組の内容をあらわす番組表)や番組内のサイドテロップ(画面の四隅に表示される文字)にも堂々と企業名や店舗名、商品名を入れていたが、最近では「大型倉庫店」(実は、コストコ)などのようにあからさまな表現は避けるようになっている。これはおそらく、企業側からの要望もしくはテレビ局の忖度のせいだと思われる。
なぜこのように企業側からの要望がまかり通ったり、テレビ局が企業に忖度をしたりするのだろうか。
それは、これらのタイアップ企画の裏では多額の「協力金」が企業やメーカー側からテレビ局、番組制作サイドに流れているからだ。
地上波重視のスポンサーの「都合」
だが、テレビ局から見ればかなり“おいしい”番組企画もこれほど企業色が色濃く出ていると配信には運用できない。
視聴者側からすれば地上波のリアルタイムで“その場限りに”見るにはよいが、配信で改めて見ようと思ったり、わざわざ放送から時間をおいて見たいと思ったりはしないからだ。
また、ある企業に偏った内容は普遍性や信ぴょう性に欠ける。
以上の事象は、逆のとらえ方をすればテレビ局はバラエティにおいては配信よりリアルタイムの地上波視聴率を狙いにいっていると解釈することができる。
もちろん、そのほうが多額の協力金を払っているスポンサーにとっても都合がいい。
配信を好む若年層より地上波を見る中高年層のほうが、商品購買力が高いからである。
テレビ局や番組にCM出稿をしたり協力金を出したりしているスポンサーのそういった「都合」が、先に記したTVerにおいてバラエティの再生数が伸び悩んでいる原因となっている。