4年連続で開催中止となった渋谷駅前のカウントダウンイベント。

 長谷部健渋谷区長は12月6日、渋谷カウントダウン実行委員会の発表に合わせ、雑踏事故防止のため、区が委託する警備を昨年よりも強化し、安全対策を実施する予定であることを発表した。

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 近隣のコンビニエンスストアや量販店には酒類の販売自粛を要請し、定められたエリアでの路上飲酒禁止は昨年時よりも5時間延長(12月31日18時から翌1月1日5時まで)。通常24時まで放映されている大型ビジョンについても23時で放映を停止。その他、安全対策の一つとして12月31日午前6時から1月1日午前1時まで忠犬ハチ公像周辺には仮囲いを設置した。

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 区がかつてない警戒態勢を敷いた格好だ。しかし、自治体の取り組みもむなしく、渋谷の街には今回も多くの人が集まった。しかも、例年以上に。

警察官の動員も例年以上に思われた ©文藝春秋

警察官の愚痴めいた一言

「うわっ今年ヤバいなあ」

 文化村通りで歩行者横断の警備を担当する警察官は、カウントダウン数時間前から疲れ顔で現場の過酷さを嘆く。対照的にセンター街を歩く若者の表情は明るい。

「すげー! 日本じゃないみたい!」

「環境だけヤバいだけじゃなくてさあ、環境と合わせて人がヤバい!」

 周囲を行き交う人のあまりのテンションの高さに、つい路上飲酒を疑ってしまったが、すれ違いざまに手元を見てみると、アルコール飲料を持つ人はごく少ない。

 近くの居酒屋で飲酒してきたのか、新年を目の前にした高揚感からか、上機嫌でいる理由についてはわかりかねるが、センター街はどこかふわついた雰囲気に包まれていた。