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中国の爆笑B級ニュースが減ってきた理由が笑えない

かつての壮大なスケール感のバカバカしさはなぜ失われたのか

2018/04/02

2.日本側の心理の変化

「1」はB級ニュースを供給する中国側の変化だが、これを受容する日本側の変化もある。最近は外交や単純な経済力のみにとどまらず、ITをはじめ日本が中国の後塵を拝する分野が増えた。無邪気に相手を笑ってばかりいられなくなったのである。

 いまや、過去に怪しい山寨機(パクリ携帯)ばかり作っていた中国の携帯電話製造業界に、ローコストでそれなりの機能の端末を作るスキルが蓄積されてしまい、それを吸収した中国のスマホメーカーが新興国を中心に市場を席巻している時代なのだ。

 そのため最近の中国のB級ニュースは、過去のように「純然たるアホな話」を楽しむ形とはならず、「スゴい話の裏側にヘンなことがある」という切り口にならざるを得ない。

いまや油断して笑っていられなくなってきた

 例えば私が昨年に手掛けたネタでも、深センのネトゲ廃人村の住民たちは、フォックスコン(鴻海)やZTEの工場で日銭を稼ぎながらスマホを片手に自堕落な暮らしを送る21世紀型のサイバーパンクな人々だった。

 また、大連でハイクオリティなダッチワイフを作って業界初の株式上場を果たしたEXDOLL社の正体は、中国ロボット協会の副会長を研究グループに招聘してAIを搭載した自己可動ドールの開発に邁進するハイテク企業だ。

大連のEXDOLL社の開発ラボ(左)と「おしゃべりドール」。ダッチワイフの造形技術と中国のITイノベーションを組み合わせ、非アダルト目的の受付嬢ロボや家族ロボとしての普及を狙う。発想が柔軟すぎて勝てる気がしない。

 近年流行のスマホ決済やシェアサイクル、無人コンビニなどの裏話も、それ自体は非常に面白い一方で、立ち止まって考えるとやはり中国発の新たな産業の芽生えを感じさせる。いまや中国のB級ニュースは、本質的には油断できない話題ばかりになっているのだ。