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リム監督は「村上春樹的な作品だよ」と

――バルカンの美しい風景や記念碑の奇観も見どころですが、本作は戦争やパンデミックの世界を憂う映画監督が失踪して、旧知の女優がその行方を追うという、迷宮のようなミステリーでもありますね。

尚玄 そうですね。戦争やパンデミックを背景にしているからといって、生真面目なばかりの映画ではありません。リムらしい稚気に満ちた仕掛けがいくつもあって、映画の構造的にもレイヤーがいろいろある作品。迷宮のように思われるかもしれませんし、リムが言うように村上春樹的な作品かもしれません。きっと楽しめて、何度も観たくなる映画だと思います。ぜひご覧ください。

©cinemadrifters

しょうげん
1978年沖縄県生まれ。俳優。大学卒業後バックパッカーとして世界各地を旅する一方、モデルとして活躍。2005年『ハブと拳骨』でデビュー。近作に主演・プロデュースを務めた『義足のボクサー GENSAN PUNCH』、『赦し』、『彼方の閃光』など。映画祭「Cinema at Sea―沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」のアンバサダーも務める。

INTRODUCTION
大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称する映画監督リム・カーワイ。未知の場所をひとりで訪ね、その場所の人々と出会い、その土地の、その瞬間を切り取っていく前代未聞の制作スタイルの原点になったのが、バルカン半島だ。『どこでもない、ここしかない』(2018)『いつか、どこかで』(2019)に続く3部作の完結編となる『すべて、至るところにある』は、旧ユーゴスラビアの巨大建造物を背景に、現実と虚構を行き来するラブ・サスペンス! パンデミック、戦争、混沌とした現代に問いかけるサイバーパンクな叙事詩である。

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STORY
エヴァ(アデラ・ソー)は旅先のバルカン半島で映画監督のジェイ(尚玄)と出会う。その後、パンデミックと戦争が世界を襲うと、ジェイはエヴァにメッセージを残して姿を消した。ジェイを探しに再びバルカン半島を訪れたエヴァは、セルビア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナを旅するうちに、ジェイの過去と秘密を知ることになる…。

STAFF&CAST
監督・プロデューサー・脚本・編集:リム・カーワイ/出演:アデラ・ソー、尚玄、イン・ジアン/2023/日本/88分/https://balkantrilogy.wixsite.com/etew/1月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開