大石 芸能レポーターというのは既成の価値観で縛ってくるしね。「だって、どっちも好きだもん、しようがない」と言えるような人も少ない。(中略)「私たちがどうしてようと、あなたたちに関係ない」ってピシッと言うタレントさんや俳優さんがいてもいいって思う。
石田 じゃあ、僕、言いますよ。(笑)
大石 私も文章で応援するわ。(笑)
「不倫は文化」発言の真相は
石田が、モデルとの不倫をめぐりマスコミから追われるなか、いわゆる「不倫は文化」発言で集中砲火を浴びたのは、それから2年後、1996年のことである。
もっとも、のちに石田が何度となく釈明しているように、彼は「不倫は文化」とはっきり言ったわけではない。実際には、ある記者から「石田さん、不倫とか許されると思っているんですか?」と挑発的に訊かれたので、
《たしかに悪いことかもしれないし、普通に結婚生活を送っている方は尊敬します。善悪で言えば善でないのもわかる。でも、不倫という恋愛から生まれた文学や芸術、音楽もあるでしょう。愛したり、別れたり、苦しみや葛藤から生まれる文化もあります。それをあなたが悪と決めつけるのには賛同できない》
という主旨の持論を語ったところ(『週刊新潮』2016年3月17日号)、翌朝、あるスポーツ新聞に「何が悪い? 不倫は文化 石田純一」との見出しが躍っていた……というのが真相らしい。あくまで一般論として語ったことが、まるで彼が開き直ったかのように受け止められてしまったわけである。
美輪明宏に掛けられた言葉
発言の直後にはテレビ朝日のニュース番組のキャスターに起用されるなど、すぐには仕事への影響はなかったものの、翌年、不倫相手と再び写真週刊誌に撮られると非難が再燃し、みるみる仕事がなくなってしまう。キャスターも降板を余儀なくされる。おかげで税金が払えず、家賃の高い家を出たくても引っ越し代がないという事態にまで追い込まれた。何より、妻と娘(女優の故・松原千明と現在、モデルなどとして活躍するすみれ)を傷つけてしまい、《世間から叩かれるのと同じくらい、自分で自分を責めました》と後年明かしている(『CREA』2011年8月号)。