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「廃車ですよね?」と聞くと…

「翌朝、職長に『あの車、廃車ですよね?』と聞くと、『アホ言いな。手直しして出荷するわ。あんぐらいならすぐ直せるから』という驚きの返事が返ってきたのです。その後、その自動車が出荷されたかどうかはわかりません。本当に出荷されたとは信じたくありませんが、『ミスを上に知られたくない』という思いから飛び出した本音だったのでしょう」(同前)

 だが、“不正の芽”を目撃しても、ダイハツではすぐに“犯人捜し”が始まるため、現場は声をあげづらいのだという。別の現役社員が打ち明ける。

「ダイハツという会社が超体育会系なので、実績をあげるだけではなく声がデカいパワハラ体質の人間ばかりが出世していく組織になっているのです。こうした企業体質なので、告発は当然もみ消されます。今回は開発部門の不正がクローズアップされましたが、不正をなかったことにする土台はどの部門も一緒だと思いますよ」

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工場で行われていた“隠蔽”

 ダイハツに、この工場内での事故について事実関係の確認を求める質問状を送ったが、こう回答があるのみだった。

「貴社からのご質問状を拝見させていただきましたが、本件について、第三者委員会から指摘いただいた事項の詳細確認を進めており、今回いただいた個別のご質問については、回答をさし控えさせていただければと存じます」

 だが、工場での“隠蔽”はこれだけではなかった——。

 現在配信中の「週刊文春電子版」では、「《深層レポート》ダイハツ『不正30年』の病根」と題し、3回にわたってダイハツの不正の背景にある社内事情を報じている。第3回となる今回は、複数の社員や元社員が工場のリアルな実態を告白。前述した事故隠しのほか、従業員の怪我隠し、パワハラ文化の実態や、内部告発者の末路などを詳しく報じている。

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