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ひとりでトイレに行けない――女性たちの訴えは重い。
女性被災者特有の課題はほかにもある。輪島市立中学で避難所リーダーをつとめる市職員の上浜真紀子氏の話。
「トイレットペーパーとおむつは震災発生の1日に、生理ナプキンは2日に自衛隊が届けてくれました。生理ナプキンについては、声をかけてくれた利用者に、場所を案内するようにしています。量が確保でき、仮設トイレもしっかり男女別にできれば、個室内に設置する予定です」
今回の震災で生かされた、過去の教訓
プライバシーを保護できるような段ボール型のテントが数多く設置されているのが目についた。
「阪神淡路大震災の時、仕切りがなくバスタオルで体を巻いて着替えるほかなかった中学生、そして大勢がいる前で母乳をあげざるを得なかったお母さんたちが『周りの吸い付くような目が怖かった』と、避難生活から何年も経ったあとも話していたことがありました」(前出・正井氏)
過去の教訓は、今回の震災でも生かされているようだ。「女性の避難所リーダーだからこそわかることには配慮するようにしている」と上浜氏が続ける。
「小さい子供を抱えた母親に積極的に声をかけるようにしています。子供はむずがって頻繁に泣きますが、お母さんは我が子がどうして泣いているのかは、すぐにはわからないもの。周囲の目もありますし、泣きっぱなしの子供を抱えた母親ほどつらい思いをする人はいませんから」
震災は老若男女を選ばない。それぞれのニーズに適う細やかな支援が求められている。