多田 レモンイエローのお帽子、後ろから見ると、2輪の小さなバラがあしらわれているんですよね。洋服と共布のお帽子とバッグです。ブルーのリボンも、共布をもらってつくった、手作りのリボンなんですよ。昼と夜で洋服をチェンジするっていうのは、前もってポラロイドをもらって知っていたから、髪型のほうも作戦をいろいろと練って準備できました。
雅子さまからヘアカットの“あるオーダー”
――この頃のヘアカットについては、雅子さまからどんなオーダーがあったのでしょう。
多田 婚約会見直前の1月16日、髪を2センチほどカットしました。このときの長さはどんな洋服にも似合い、アレンジしやすいのです。そのあとは月1ペースで、毛先をほんの少しだけカットして整えるような形でした。ご成婚に際しての「おすべらかし」の髪型を楽に結い上げるために、できるだけ長く伸ばしておきたいという事情があったようです。
――次第に立場が変わられていく中でも、お店への電話は雅子さまが?
多田 そうです。予約の電話はね。小和田邸でのカットも、お母さまやお手伝いさんではなく、ご自分からでした。
これは、切手ですね。
――わあ。
多田 このときも、「今日、切手だから」というお話で、「切手の撮影ですか。ちょっと待ってください」と。私からしてみると、自分の作品が切手になるの? と。「こんなにうれしいことはないですよ」と申し上げて、喜んで担当させていただきました。
――ずっと残りますもんね。この髪型、とてもお似合いです。
多田 残りますよ。ご結婚前、最後にお会いしたのは1993年4月20日、「告期の儀」のとき。その後は別の方が担当になりました。今でも残念なのは、「告期の儀」が最後だと思っていなかったので、雅子さまにきちんとご挨拶ができなかったことです。