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「芸人界はどうしても男社会なので…」M-1準優勝・ヤーレンズが先輩女性芸人から学んだ「大切なこと」

「芸人界はどうしても男社会なので…」M-1準優勝・ヤーレンズが先輩女性芸人から学んだ「大切なこと」

ヤーレンズ・インタビュー#1

2024/01/27
note

「若い世代のやつが、若い子を笑わせるって一番簡単」

出井 審査員をもうちょっと若返らせればみたいな意見もあったりするんですけど、むしろ逆ですよね。こんな、平均年齢50歳の国で、平均年齢以下のやつだけでチャンピオンを決めて、それがスターになるのかっていうのは僕ずっと疑問で。

©深野未季/文藝春秋

楢原 若い世代のやつが、若い子を笑わせるって一番簡単なんですよ。

出井 そうそうそう。

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楢原 そこを怠ってるやつが、テレビスターになれると思えないっていうか。

出井 M-1はその最終関門なので。もっと世代問わず受け入れられるやつがチャンピオンにならなきゃいけないとは思いますね。

「M-1への思いはたぶん一番強いじゃないですか、僕ら」

――一昨年の準決勝でヤーレンズさんが敗退して、その後にお二人でカラオケ行かれてた動画が配信されて。楢原さんがYOASOBI歌って出井さんが踊ってた。あれちょっと衝撃的だったんです。あの時完全にヤーレンズは決勝に行くだろうという雰囲気があったのに、でもダメで、そして歌って踊ってる。どういう状況なんだと。

出井 まああれは完全に空元気ですけど(笑)。

楢原 でも……M-1への思いはたぶん一番強いじゃないですか、僕ら。

出井 全然強いと思う。

楢原 タレントで売れたいというよりも、チャンピオンになりたいと思ってる。漫才で将来ご飯食べたいと思ってて。たぶん吉本所属だったら準優勝でも食べれると思うんですよ。でも吉本じゃないので、やっぱりチャンピオンじゃないと漫才でご飯食べていけない。

©深野未季/文藝春秋

出井 最終目標が僕らはあって。ほんともう60とかになったら、劇場を建てて、そこで週4ぐらいで漫才して、それで生活できれば最高だなという。

楢原 余生、余生ね(笑)。

出井 そこを僕らは共通の最終目標に設定してるので。そのためにはチャンプの方がね、絶対いいので。

――じゃあテレビで爆売れしたいとか、そういうことでは。

楢原 ない。僕はないですね。

出井 まあ売れれば嬉しいですけどね。でも全てをなげうってテレビっていう覚悟は、今のところないです。漫才に支障出るならやりたくない。

――役者のお仕事は?

出井 そんな仕事来ないと思いますけど(笑)。でもそんな長期でスケジュールを押さえられると漫才できないから断わるとは思いますね、たぶん。

楢原 漫才で食べていくためには顔を売らなきゃいけないじゃないですか。見てもらうためならいろんな仕事やりますけど。それが最終的に漫才に結びつくならっていう感じですかね。

――そのためにやっぱりM-1ではチャンピオンにならないといけない。

楢原 説得力っていうか。全国ツアーもそれだったらみんな来てくれるでしょうし。

――東京03さんが昔テレビで「コントだけやって生きていきたい」みたいなこと言ったら、そんな夢みたいなこと誰もできないって諭されていましたが、今03はそれを実現されてる。

出井 そう。サンドウィッチマンさんも、全国ツアーがすぐ埋まる。それでテレビもめちゃくちゃ出てる。めちゃくちゃ完璧な人生。

――だとしたら冒頭の「おめでとうございます」は、全然違うわけですね。

楢原 全然悔しいんですよ、ほんとに。

出井 いやでも言っていただくのはありがたいです(笑)。

楢原 一般的な感覚だったらそうです。実際みんなそう言ってくれるし。でもそれ吉本入れよっていうことじゃないですか、漫才で食べたいなら。