1ページ目から読む
2/4ページ目

楢原 絶対に賢いよね。錦鯉さんがやっぱり悪い例じゃないですか。ずっとやってたら売れるんじゃないかってみんなに思わせてしまった。本当はそんなわけなくて。だって錦鯉さんはずっと面白かったから。面白いってみんなに言われてて、本当に早く見つけてあげてくださいよっていう中で順当に見つかっただけだから。でも地下芸人はみんな自分を錦鯉だと思ってるんですよ。

©深野未季/文藝春秋

すぱっとやめられたやつは偉い

――地下芸人の夢なんですね、錦鯉さんは。

楢原 錦鯉さんは本当に、世代も俺らより10コも上なのに、若い女の子の前でもちゃんとウケてたから。全芸人が面白いと思ってたけど、単にタイミングが合わなくて、日の目を見てなかっただけの人だから。おじさんの星とか言われてますけど、違いますよ。最初からスーパースター。

ADVERTISEMENT

――鯉が錦鯉になったわけじゃなく、最初からちゃんと錦鯉だった。

楢原 ほんとそれ。

出井 面白くない錦鯉がたくさん生まれてしまった悲しさはあるので。でも自分がそうなる可能性も全然あるのが、このお笑い界の怖いところです。なのですぱっとやめられたやつは偉いんです。

今度こそやめようと思ってた時期に…

――でもお二人は続けてきた。

出井 続けましたね。それはもう嘘みたいな話ですけど、ほんと仲間とファンのおかげですね、100%。

©深野未季/文藝春秋

楢原 やめるタイミングはあったので、むちゃくちゃ。

出井 やめるタイミングだらけだったので。本当に仲間の支えでここまできたっていう感じですね、僕らは。

――たとえばどんな支えだったんですか。

出井 「やめるな」って言葉もありましたし。それこそM-1だめだった後に、吉本の正月寄席っていう、芸人が好きな芸人呼んでいいライブがあるんですけど、後輩が正月から僕らめちゃくちゃ呼んでくれたり。芸人は正月暇だと考え込んじゃうんですけど(笑)。だからネガティブなこと考える暇もなかったというか。

――でも本当に一昨年ぐらいから、ヤーレンズに決勝上がってほしいという人たちのうねりのようなものを感じました。常にトレンドにも入ってましたし。

楢原 そうなんですよ。一昨年決勝いくんだろうなって勝手に思ってたので。決勝いけなくてカラオケで空元気出して歌ってたんですよ(笑)。

――(笑)。

楢原 3年前ですかね、また準々決勝までしかいけなくて、そのとき僕一番くらってて。もうだめだ。今度こそやめようと思ってた時期に、さっき言った正月の寄席にめっちゃ呼んでもらえて。芸人がみんな「やめなくていいよ」って言ってくれてる気がして。ああじゃあこれやめずにやろうって思ってたら、お客さんもめちゃめちゃ応援してくれて。そんなこんなで2022年「ああこれは今年絶対決勝ですやん」って思ったらいかなかったので、「いかないんかーい」って。それでカラオケ。

――いかないんかーい(笑)。