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“決断する”という監督の役割は「それなりに向いていると思う」…最新作の斬新な技法に海外でも注目が

“決断する”という監督の役割は「それなりに向いていると思う」…最新作の斬新な技法に海外でも注目が

期待の監督 草野 なつか

2024/02/18

source : 週刊文春CINEMA 2023冬号

genre : エンタメ, 映画

note

 2023年の2月、恩師である前述の教授も他界してしまいました。これまでずっと、恩師から褒められることを目指すのではなく彼が困惑してしまうような映画を撮ろう、と、そう思いながら作品を制作していたので、この新たな不在も私にとって今後の作品に大きな影響を与えるのではないかと思います。

 

『王国(あるいはその家について)』

STORY
亜希は、幼なじみの野土香の新居を訪れた。野土香は大学の先輩だった直人と結婚して子供を出産していた。その娘・穂乃果の遊び相手をしてやると、亜希によく懐いた。そして今、亜希は警察の取調室にいる。「あの台風の日、あの子を川に落としたのは私です」。野土香との関係や彼女への執着、直人への憎悪について亜希は他人事のように話し始めたのだ。脚本の読み合わせやリハーサルを、俳優が役を獲得する過程と捉えた本作は、同場面の別パターンまたは別カットを繰り返し表現する。ドキュメンタリーと劇で交互に語るその手法は国内外から注目を浴びている。

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STAFF & CAST
監督:草野なつか/脚本:高橋知由/出演:澁谷麻美、笠島智、足立智充、龍健太/2018年/日本/配給:コギトワークス/全国公開中

“決断する”という監督の役割は「それなりに向いていると思う」…最新作の斬新な技法に海外でも注目が

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