極夜よりも白夜の時期のほうが休みが多くなる理由
――それはどうして?
れな みんな遊びたいから(笑)。だから、なんとなくだるい極夜の時期よりも、活力がみなぎっている白夜の時期にまとめて休みをとる人が多いんです。学校の夏休みも、ちょうど白夜の時期にあわせて3ヶ月ほどあります。
――アラスカは夏でも20℃前後しか気温が上がらないそうですが、定番のアクティビティはあるのでしょうか?
れな 日本と同じように、海や湖で泳いでいます。寒いけど、その時期以外はほぼずっと雪が降っていて泳ぐのは不可能なので。
――1年の大半が極寒だからこそ、少し寒い程度なら積極的に外に出るんですね。
れな ちなみに、寒すぎるために住人のほぼ全員が同じマンションに住んでいる街や、アルコールの摂取が禁止されている街もあるんですよ。
病院、学校、公園…すべての施設が高層マンションの中にあるワケ
――それぞれ詳しく教えていただけますか?
れな 第2次世界大戦中に軍の秘密基地として使われていた、ウィッティアという街があります。まず、街の入口が約4kmもある長いトンネルなんです。それを抜けるとウィッティアに出られるのですが、街中でひと際目を引くのが、「Begich Towers(ベギーチタワー)」という高層マンション。ここに、ほとんどの街の人たちが集まって暮らしています。マンションの中には売店やカフェはもちろん、病院、郵便局、学校、教会、室内菜園や公園まであるそうです。
――マンションが「街」そのものなんですね。
れな そうなんです。とはいえ、日本にもいろんな施設が付属した高層マンションはありますよね。ベギーチタワーの面白いところは、すべての施設が屋内にあるところ。たとえば、公園も屋外ではなく、マンションの一室の中にブランコや砂場が設置されているんです。
寒いだけでなく、吹雪も強くクマも多い地域だから、なるべく屋外に出ないで生活できるように工夫した結果なのだと思います。
――なるほど。では、街によってはアルコールが禁止されている、というのは?
れな 夫の実家があるアンカレッジではお酒に関する制限はありませんが、北に行けば行くほど販売はもちろん、所有すら禁止のエリアが増えていきます。
禁止の理由のひとつが「寒さ」。北に行けば行くほど気温が下がるため、酔っ払って外で寝てしまった場合の凍死リスクが高まるんです。