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干渉してくる、詮索癖がある、同じ話ばかりする…“困った親”との“理想的なコミュニケーション”のポイントを教育学者が明かす

『上手に距離を取る技術』より #2

2024/02/09

genre : ライフ, 社会

note

昔の話は聞いておく価値がある

 私の父はお酒が好きで、飲み始めると同じ話が堂々巡りになります。酔っ払い自身もまた、同じ話をすることに困っているのだと私は考え、私の質問によって話題を変えてあげていました。壊れたレコードから抜け出させる、切り替えてあげる。それでこそ、田舎の両親も喜ぶというもの、これも親孝行です。

 親とは世代差がありますし、現在に共通の話題を見つけるのは難しいこともあります。その場合はずばり、昔の話をし続けましょう。幸い、昔話というのは少なくはありません。幼児の頃から小学校、思い出話に花を咲かせると、古い木にもそれなりに花が咲きます。

 私自身もっとやっておけばよかったと思うのは、祖父母の話を聞くことです。祖母の兄弟には相撲取りがいたと聞いて驚いたのですが、こういった昔の話を覚えている人はほとんどいません。祖父母は明治生まれでしたから、彼らからそのまた祖父母の話を聞けば、江戸期に近づくことができます。まさにファミリーヒストリーです。遺伝子のつながりがあると盛り上がりやすいですし、昔の話は聞いておく価値のあるものです。

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 家族の間にこそ、感情を持ち込み過ぎない、おだやかなつきあいが必要なのです。

上手に距離を取る技術 (角川新書)

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齋藤 孝

KADOKAWA

2024年2月9日 発売

干渉してくる、詮索癖がある、同じ話ばかりする…“困った親”との“理想的なコミュニケーション”のポイントを教育学者が明かす

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