〈あらすじ〉

 売れない映画俳優のチュー(チュー・ホンギャン)は行方不明の妻を捜すために、妻の故郷である離島の港町を訪れる。その島では漁師の守護仏である仏像の頭が消失して以降、海に出た者が戻らなくなっていた。

 チューはその港町で、妻の面影を持つ2人の女性と出会う。1人はダンスホールのマネージャーで、5年前に漁に出た夫の帰りを待ち続けていた。もう1人は小学校の女教師で、島から外へ出たことがないという彼女を、チューは島の外に行こうと誘う。

〈解説〉

 主人公が夢と現、過去と現在を彷徨しながら、3人の女性と3つの殺人に遭遇して迷宮に迷い込むサスペンス。シューアン・リンが妻、マネージャー、女教師の3役を演じる。脚本・監督は本作が長編デビュー作となるチャン・チー。112分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆中国映画でも、こんな繊細な感覚の映画が……。さびれた港町の風情。消息不明の妻。クジラをかたどった淋しいネオン。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★☆☆☆ストーリーテリングが弱いのは仕方がないが、映像も紋切型に流れる。性能の悪い幻灯機で映画もどきを見せられた気分。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆テトラポッドが並ぶ光景と幾何学的なビルの窓、安宿の女将とバーの女、母を待つ子供と妻を探す男、全てが幻影のよう。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆いかにもインディ的な作りの寓話ながら、図解に陥らず幻惑の愉楽をもたらすことに好感。『めまい』の派生形でもある。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆文体、ロケ地や美術、映像、新感覚かと一瞬感じさせるも既視感あり。探偵物など他ジャンルで観てみたい中国の新鋭。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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