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映画を通じて人生を、人生を通じて映画を描く
これは映画がもたらす奇跡以外のなにものでもない。
エリセは『瞳をとじて』の中で、老いることの無残さを描いた。一方で、そこに希望の余地も残した。
現実には奇跡など起きないのかもしれない。しかし奇跡を信じて生きぬくことはできる。信じていれば、あるいは映画のように――。
エリセは過去の作品と同様に、本作でも映画館に人々が集い、スクリーンを見上げる場面を用意した。たとえ本作がエリセの最後の作品になったとしても構わない、そう思えるくらい儚く、美しい、奇跡のような場面だ。
エリセはつまり描きたかったのだろう。映画を通じて人生を、人生を通じて映画を。
STORY
映画『別れのまなざし』の撮影中に、主演俳優のフリオは忽然と姿を消した。それから22年後、遺体が見つかることなく、そのまま死亡とみなされた彼の失踪を巡る謎に、あるテレビ番組が迫る。証言者として出演依頼を受けた元映画監督のミゲルは、親友でもあったフリオとの過去を追想し――。
STAFF & CAST
監督・脚本:ビクトル・エリセ/出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント /2023年/ スペイン / 169分 /配給:ギャガ/2月9日公開