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「角栄逮捕時の日本と今の日本は変わらない」都心店で文庫売上7週連続1位を継続! 真山仁『ロッキード』はなぜ売れているか

『ロッキード』真山仁 インタビュー(1)

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文庫でも2.5cmの厚さ、真山仁さん初のノンフィクションが爆売れ!

 丸善丸の内本店と丸善日本橋店。ともに東京駅に近い大型書店として、平日はビジネスマンを中心に、週末は家族連れを中心に賑わいを見せているこの2店舗で、2023年12月から2024年1月にかけて7週連続で文庫売上ランキング1位を獲得しつづけている書籍がある。

 2023年12月6日に発売となった『ロッキード』(文春文庫、1300円+税)だ。

「ハゲタカ」シリーズで一躍注目を集め、徹底した取材をもとに政治や経済、司法など社会的な問題をテーマに骨太なエンターテインメント小説を書き続けている小説家・真山仁さんが手掛けた初のノンフィクション。今から40年以上前、1976年に田中角栄元総理が逮捕され、有罪判決を受けた政治疑獄・ロッキード事件の真相に迫った力作である。

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 カバーに使われた写真は1976年7月27日、田中元総理が東京地検特捜部に逮捕された当日に撮影されたものだ。帯には「なぜ角栄は葬られたのか?」との文字が踊り、厚さはなんと2.5cm。この大著が異例の「爆売れ」を見せている。

「発売初日からコンスタントに売れ続けて、一冊も売れなかった日がほとんどない」

丸善丸の内本店で文庫1位を昨年12月からずっとキープしている

 丸善丸の内本店の文庫・新書担当の横山みどりさんによれば「真山さんの作品は、もともとこの2店舗で、以前からよく売れているんです」とのこと。

「2021年に刊行された『ロッキード』の単行本もよく売れたので、文庫も最初から目立つところに置いてはいたんです。ただ、これだけ売れるとは......。発売初日からコンスタントに売れつづけていて、1冊も売れなかった日がこれまでほとんどありません。もっと大きく展開しよう、ということで、今は1階のレジ前の新刊文庫コーナー、3階の文庫売り場だけでなく、2階の文芸棚でも平積みでご紹介しています。

 文庫でノンフィクションの作品が、2位を引き離してのぶっちぎりで売上1位を6週もキープすることは、これまであまりないことでした。異例の売れ行き、といっていいと思います」

丸善丸の内本店では、店内の各所で大きく展開している

 購買層は、中高年の男性が中心だ。

「購入してくださったある年配のお客さまが『驚いたよ。この本、単行本が出たときはあまりに分厚くて見送ったんだけど、文庫になったんだね。ありがたい』と話していました。文庫効果も間違いなくありますね」(横山さん)