学部で8年、修士で5年、博士で5年
――3回目の東大法学部入学ですね。
高原 そうです。6年生で再度、国家公務員試験にチャレンジするも、今回も官公庁の面接で全落ちでした。その後、8年生で3回目の学部卒業をしました。法学部は、第1類~第3類までのコースに分かれているのですが、これをコンプリートしたことになります。最初に卒業したのが第2類。その後、第3類、第1類という順番で卒業しました。
東大文系で最難関と言われる法学部は、現在、幅広く法学について学修する第1類(法学総合コース)、弁護士や裁判官など法曹関係者を目指す学生が多い第2類(法律プロフェッションコース)、政治学を題材に、研究者になる学生が多い第3類(政治コース)に分かれている。高原さんの学部在学当時は、第1類と第2類の内容はおよそ逆だった。
東大法学部をコンプリートした高原さんは、さらに東大生生活にのめり込んでいく。
高原 この頃になると、自分はなぜそこまで官僚になりたかったのか――その気持ちの源泉を研究したいなと思うようになっていました。そこで、ようやくステップアップして大学院に進むことにしました。
――大学院の入試はどうでしたか。
高原 それが、法学部の院試には見事に落ちて……教育学部もダメで、今いる駒場キャンパスの教養学部の院に入りました。総合文化研究科の超域文化科学専攻比較文学比較文化コースです。いうなれば9年生ですね。
――これでもまだ18年には半分ですね。
高原 その後、休学を挟んで修士を5年で修了し、14年生で博士課程に入りました。現在も休学しながら博士論文の研究を続け、18年生です。来年の4月には、私が東大に入学した年に生まれた人が入学してくることになります。
――在学18年は歴代最長ですか?
高原 どうでしょう。東大150年の歴史を遡れば、もしかしたら20年生とかがいてもおかしくない気もしますが、いまのところ聞いたことはありません。博士課程は最長8年いられますが、私は学部で8年、修士で5年と、博士前もかなり長かった。学部のときも、90単位で卒業なんですが、キリよく100単位を取ったり、修士の時は30単位で良かったんですが、坂道グループが好きなので46単位を取って修了したりもしました。そうやって、制度の中で遊ぶのが好きなんです。
撮影=鈴木七絵/文藝春秋