世界中で再生された実写版「幽☆遊☆白書」の初動の成績は、Netflixにとって満足できる結果を残したのではないか。2023年に配信された日本発の実写作品(映画/ドラマ)は計11本に上ったが、その中でも断トツだった。
再生数だけでは測れない作品の中身に対する評価も気になるところ。辛口の批評サイトで知られる米Rotten Tomatoesではオーディエンス平均スコアは82%(2024年1月15日時点)と、まずまずだ。
「幽☆遊☆白書」を語る上で欠かせない人間界と魔界と霊界の三つが交錯する世界観とキャラクター同士のバトルの描かれ方は第1話から引き込まれ、確かに満足感を得ることができる。
「これはすごい」と唸ったシーン
セットや撮影技術など目につきやすい部分で製作費を省かないNetflixクオリティが保たれたことが大きい。
マンガの実写化で議論されがちな再現度という観点では、キャラクターたちの髪型の作り込みにおいて多少甘い部分もあるが、作品の良さを大きく左右するほどのことでもない。175話ある原作を今回は3分の1程度のストーリーにうまくまとめている。
最も評価したいのは、北村の浦飯幽助をはじめ、志尊淳の「蔵馬」や本郷奏多の「飛影」、上杉柊平の「桑原和真」、滝藤賢一と綾野剛の「戸愚呂兄弟」など主要登場人物たちのバトルシーンだ。
「幽☆遊☆白書」ならではの暴力性とエモさを意識した映像が作り出されていた。『君の膵臓をたべたい』が代表作の月川翔監督が中心となり、ドイツを拠点とする世界トップクラスの制作会社であるスキャンラインVFXの協力も得て、俳優とCGクリーチャーを映像加工する高度なVFX技術が駆使されたという。
撮影からポストプロダクション(撮影後の作業)の期間だけで約3年もかけて、完成に至っている。
「ONE PIECE」と「幽☆遊☆白書」の違い
一方で、同じくNetflixが手掛け、原作ファンが世界中にいる点でも共通する「ONE PIECE(ワンピース)」の実写版と比較すると、「幽☆遊☆白書」は惜しい点がある。