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留置場には約3か月拘留されていた。来る日も来る日も、妻と子供のことばかり考えていた。急に家に帰ってこなくなった父親……それを子供はどう思っているのだろうか。心に傷をつけてしまったのではないか……。家庭をめちゃくちゃにしてしまった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
私は家族のために今何ができるかを考え、弁護士に英語と韓国語のテキストを差し入れで入れてもらい、留置されている間勉強をし続けた。その理由は、未来はどうなるのか全くわからないけれど、いつか社会復帰した時に海外に関わる仕事がしたいと考えていたからだった。
世間の犯罪者に対する「冷たいまなざし」
拘留中の忘れられないエピソードがある。肌に湿疹ができ全身がかゆみに襲われ、我慢できる状態ではなかったので、留置課の警察官に頼み込み、病院に連れて行ってもらったことがある。刑事4人に囲まれ、腰縄と手錠で一般市民が待っている病院の待合室を抜け診察室へ向かう。
その場にいた患者さん達の目は好奇心にあふれ、同時に冷ややかでナイフを突き刺すようなまなざしで私を見ていた。犯罪者は世間からこういう目で見られているのだと痛感した。