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 象徴的だったのは、昨年春に経団連が公表したコンテンツ産業の反攻戦略案だ。レポートの副題は「Last chance to change」。その中で、国によるクリエーター人材の育成や制作費の補助拡充を訴え、(KOCCAのように)海外の支援拠点を整備する必要性を強調した。さらに政策の司令塔となる「コンテンツ庁」の設立も提言し、「過去積み上げてきた日本発コンテンツは、環境変化と各国の成長スピードに圧されて、その地位を失う危機に晒されている」と警鐘を鳴らした。

デジタル時代の『ONE PIECE』

 ライバルは韓国だけではないのだ。

 漫画についても、世界各地で次々と強敵が現れている。23年は米アマゾンとアップルがそろってウェブトゥーンに参入し、業界全体に激震が走った。アップルの場合、日本の読者は同社の電子書籍アプリ内の「縦読みマンガ」のページにアクセスすれば、専用の閲覧システムで快適に読み進められる。おなじみの「話売り」形式を踏襲し、韓国拠点の制作スタジオと組んで独自作品を用意した。今後は数十カ国で事業を広げる方針で、ウェブトゥーン市場の台風の目となる可能性は十分にある。おのずと同社のお膝元である米国産ウェブトゥーンが脚光を浴びる機会も増えるだろう。

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 インドでは、ウェブトゥーンを配信する漫画アプリ「Toonsutra(トゥーンスートラ)」が昨年秋にお目見えした。ソニーグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が支援する同アプリは、古代の王族親子を描く「バーフバリ」シリーズやインド神話を題材にした作品などを用意し、無料もしくは1話あたり約5インドルピー(約9円)で販売する。米アマゾン出身で、共同創業者のヴィシャール・アナンドは「インドには7億人の巨大な若者市場があり、スナック感覚で楽しめるエンタメが求められています。アプリの利用者はすぐに数百万人に達するでしょう」と取材に語り、東南アジアでの事業拡大にも意欲を示した。

中国ではスタートアップ企業がトップの座に

 さらに中国においては、漫画アプリ「快看(かいかん)」が自国で制作したウェブトゥーンを配信し、急成長している。創業者の陳安妮(チェン・アンニ)は「ポスト90年」世代の起業家の代表格といわれ、成功に至るまでの道はまさにシンデレラ・ストーリーだ。