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「やりたいことに熱狂して何者かになれ」ではなく…幅広い世代に評判の「物語の主人公のように生きる」キャリア設計術

『物語思考』(けんすう〈古川健介〉 著)――ベストセラー解剖

2024/02/13
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『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』(けんすう〈古川健介〉 著)幻冬舎

 著者は学生時代から多くの事業を立ち上げてきた起業家。無理してやりたいことを見つけようとするより、なりたいキャラクターを自由に設定し、物語の主人公のように生きれば、人生の満足度が上がると説いた本書が幅広い世代に評判だ。

「数年前までは、やりたいことに熱狂して何者かになれ、という強いメッセージ性を持つビジネス書がブームでした。僕自身、その牽引役でしたが、最近そういったメッセージは刺さりづらいと感じていました。そんな時に『やりたいことがなくても、何者かになれなくても、日常の中で理想の自分に少しずつ近づく過程こそ大事』という著者の発信に共感したんです。僕も以前はベストセラーを作るぞと目標至上主義でしたが、達成したら終わりで幸福は長続きしませんから」(担当編集者の箕輪厚介さん)

《「10年後になりたい状態」を100個書く》など、ステップごとにワークが入る。料理のレシピ本のように書かれたとおり実行していくのがカギだ。

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「たとえばスマートで健康的なキャラとして振る舞うなら、お菓子は控えるなど少しずつ行動が変わっていき、劇的ではないけれど、昨日より1%理想に近づく。結果ばかりを求められる世の中だからこそ、理想の自分になるためのプロセスが毎日の充実感につながるという著者の考えが支持されたと思います」(箕輪さん)

2023年9月発売。初版1万2000部。現在3刷4万部(電子含む)
「やりたいことに熱狂して何者かになれ」ではなく…幅広い世代に評判の「物語の主人公のように生きる」キャリア設計術

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