自民党の茂木敏充幹事長(68)が、2021年の衆院選にかかった経費を“二重計上”していたことが月刊誌「文藝春秋」編集部の取材で分かった。公職選挙法違反の疑いがある。

茂木氏 Ⓒ時事通信社

 自民党幹事長として、「政治刷新本部」の役員を務めるなど、裏金問題の真相究明に当たっている茂木氏。今回発覚したのは、茂木氏が2021年の衆院選(10月31日投開票)を巡って1枚の領収書を使いまわし、経費を“二重計上”していた問題だ。

領収書の筆跡が完全に一致

 茂木氏が栃木県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」には、栃木市内の製造業・A社に対する支出が記載されている。

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令和3年11月12日 47,592円 電気代 A社

 茂木氏の支援者が語る。

「選挙期間中、茂木氏はA社から事務所を借りていました。そこにかかった電気代を支払ったのでしょう」

 他方、茂木氏が代表を務める政治団体「自由民主党栃木県第五選挙区支部」の政治資金収支報告書にも、A社に対する支出が記載されている。

令和3年11月12日 47,592円 備品 A社

茂木氏の選挙運動費用収支報告書
「自由民主党栃木県第五選挙区支部」の政治資金収支報告書

 支出の目的こそ異なるものの、同日付で、1円単位まで同じ金額が支出されている。いったい、どういうことか。小誌は栃木県選管に対し情報公開請求を実施。茂木氏の選挙運動費用収支報告書と栃木県第五選挙区支部の政治資金収支報告書で計上された支出について、それぞれの領収書の写しを入手した。

 驚いたことに、この2枚の領収書は、日付や宛名、但し書き、金額の筆跡が同一だ(下記、画像参照)。コピーによるものと見られる擦れこそあるものの、手書きされた文字については一言一句、完全に一致する。この2枚の領収書が同じものであることは一目瞭然だ。

茂木氏の選挙運動費用収支報告書の領収書
「自由民主党栃木県第五選挙区支部」の政治資金収支報告書の領収書