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「不正交談」とは受刑者同士で刑務官の許可なく勝手に話をすること。刑務所での作業中は何をするにも刑務官の許可がいる。例えば刑務作業中隣の受刑者と話をしたい場合は、座ったまま正面を向き、真っすぐ手を挙げ、刑務官から「要件」と言われたら「〇〇さんと作業内容の交談をお願いします」と伝える。刑務官から「よし」と言われたら、帽子を脱いで「交談します」と言いようやく話をすることができる。

 人と話をするだけでもこのような手順を踏まなければ話ができない。とはいえ、作業に飽きてしまった受刑者は俯き加減に小声で隣で作業している受刑者へ話しかける。「何の罪で捕まったんですか?」、「今日のメシなんでしたっけ?」、「お菓子何買います?」、内容は今話すことではない下らないことが多い。私も不正交談には悩まされた。話しかけられたらやはり無視はできない。余暇時間に「なんで無視したんだよ」と因縁をつけられ面倒なことになるからだ。不正行為は絶対にしたくなかったのだが、嫌々ながらも仕方なく不正交談に付き合うことは多々あった。

刑務所内でも賭博ができるワケ

 2つ目は「物品不正授受」。刑務所内では受刑者同士で物や本の貸し借りや受け渡し行為を禁止している。理由は所説あるのだが、受け渡し行為を容認してしまうと、いじめや恐喝行為で物を取り上げる受刑者がいるから。絶対にやってはならない行為にもかかわらず、受刑者は自分の欲望に負けてしまい、エッチな本の貸し借りや切手の貸し借り、自分が普段飲んでいる薬をあげたり、お菓子をあげたり色々なことが行われている。

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 また、高校野球が始まるとどこの高校が優勝するのかを予想して受刑者同士で賭博をして、予想が外れた受刑者は当たった受刑者に対して悔しそうな表情を浮かべながらお菓子を渡したり、切手を渡したりしていた。

 3つ目は「夜読」。消灯時間になると部屋の灯りが消え小さな豆電球ほどの非常灯が部屋の中を夜中照らす。この明かりが眠気を妨げる。眠れない受刑者は、巡回する刑務官やアルソックの警備員に見つからないように暇を潰すため本を読む。これが「夜読」という行為。