岸田政権の支持率低下に伴って“やったこと”
例えば2020年11月20日の記者会見で小池氏は、39分間の記者会見の時間中、じつに23分間もの時間を使って、目の前の危機と無関係の都の事業の説明に費やしました。追及を受ける時間をできるだけ削ってしまおうという意図が透けて見えますが、小池氏ご本人はおかまいなし。記者が「神奈川県では(Go Toを)中断したが都も制限するのか」と質問しても、小池氏は「事業主体は国」と答えるのみで会見場を立ち去ってしまった。
この1カ月あまり後の2021年1月の談判パフォーマンスは、対策を怠ってきた自らの「不作為」の悪評をパッと帳消しにする効果を発揮してあまりあるものでした。
〈小池は、まるで自分が「救世主」であるかのような構図に切り替えてしまった。移り気な国民の気分の変化を絶妙なタイミングで汲み取り、「今、緊急事態宣言に積極的な小池」を演じれば風が吹く、とばかりに勝機を見出したのだ〉(同)
菅氏は2021年10月で退陣しましたが、4年の任期が確保された小池氏はその後、目立つ政治行動はしませんでした。そして菅氏の後任の岸田政権がずるずると支持率を下げてきた昨年秋以降、果てしないバラマキ政策を連発しています。
今年1月から18歳以下の子供を持つ都民に子1人あたり月額5000円を支給する「018サポート」を始めたほか、4月からは私立を含めた高校授業料無償化について現在910万円の所得制限を撤廃する政策も決めました。
対象になった人はありがたいに決まっていますが、札束でほっぺたをしばくような政策には裏がある、ということに、もう有権者は気づき始めているかもしれません。大手企業が集中し、税収が確保されている東京都だからできる政策にほかならず、「018」は、国の児童手当への対抗策、高校無償化は大阪維新の会への対抗策と見ることもできる。それを見てまたジャーナリズムが「国政も視野にあるのか」と書き立てます。
「どうなるのか」という気分が醸成されるだけで、注目を浴びる小池氏はニンマリでしょうが、財源はいずれも都民・国民の血税です。思わせぶりなパフォーマンスのためなら国民の生命や財産をリスクにさらすのも鼻歌交じりにやってのける。そんなふるまいはコロナの時の彼女と共通しているように思えてなりません。
危機への対処に、政治家の正体ははっきり現れていたのです。